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観光案内するチャットボット、生成AIでどう進化?

観光案内するチャットボット、生成AIでどう進化?

大阪観光局は観光情報サイトに生成系AIチャットボット「コトツナ ラモンド」を導入した

JTBはKotozna(コトツナ、東京都港区)と連携し、インバウンド(訪日外国人)旅行者の観光案内向けに多言語チャットボット「コトツナ ラモンド」の提供を始めた。生成系人工知能(AI)を使うことで、ウェブ上の情報から自動で回答を生成し、自然な言葉で会話できることがポイントだ。各地域の“おもてなし”のアップデートを支援する。

JTB大阪第一事業部営業推進課の大場夢奈氏は、「従来のチャットボットは『子ども連れで行きたい秋の観光は?』という質問に対し、『秋』を拾えても『子ども連れ』を拾いにくかった。生成系AIチャットボットは質問の意図を察する能力が高い」と話す。

ラモンドは米オープンAIの大規模言語モデル(LLM)「GPT4・0」をベースにしている。LLMは膨大な言葉を学習しているため、文章中の離れた位置にある「子ども連れ」と「観光」の関係を正しく理解できるのだ。開発を担当したコトツナ営業統括の朝倉大輔氏は、「非常に人間に近い対話ができる」と説明する。

従来のルールベースのチャットボットは、事前に登録された情報を基に回答するため、予想外の質問には対応できなかった。ラモンドはウェブ上から自動で回答を探すため、情報登録の手間がなく、さまざまな質問に自然な言葉で対応する。さらに参照するウェブサイトに優先順位を付けることで、誤った情報を拾うことによるAIの“うそ”を防ぐ。

インルームではメッセージが同時翻訳され、離れていてもストレスなくコミュニケーションできる(イメージ)

大阪観光局は、大阪公式観光情報サイト「OSAKA―INFO」へのラモンドの採用を決めた。

このほかにJTBとコトツナは、宿泊施設向けにインバウンド旅行者とのコミュニケーションツール「コトツナ イン ルーム」を提供している。このシステムは、旅行者が母国語でチャットに書き込んだ質問などを同時翻訳して宿泊施設側の端末に日本語で表示。施設側に日本語の回答を、旅行者には母国語で表示する。

JTB大阪第一事業部営業推進課の小林義明グループリーダーは「観光を変えるポテンシャルがある」と自信を語る。インルームと顧客管理システムなどとの連携を検討し、インルームを介した精算やクーポン配布、基幹システムへの自動入力など、応用範囲を広げていく考えだ。

外国語を話せる従業員にインバウンド対応業務が集中する課題を解消し、デジタルの力を使って、よりよい“おもてなし”が広がることが期待される。(梶原洵子)


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日刊工業新聞 2023年12月01日

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