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「富岳」と組み合わせ“世界一”の性能確保へ、理研がAI用スパコン「語岳」整備

「富岳」と組み合わせ“世界一”の性能確保へ、理研がAI用スパコン「語岳」整備

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理化学研究所は人工知能(AI)向けスーパーコンピューター「語岳」を整備する。AI向けの計算性能はスパコン「富岳」の4・5倍。語岳と富岳を組み合わせ、世界一となるスパコンと同等性能を狙う。

語岳は低精度演算性能で9エクサフロップス(エクサは100京)のグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)スパコン。浮動小数点数を8ビット形式で表現。精度は低くても大量の計算を走らせるタスクに向く。メモリー使用量も少ない。

一方、浮動小数点数を64ビット形式で演算する倍精度演算では0・147エクサフロップスと富岳の3・7分の1に相当する。富岳は中央演算処理装置(CPU)ベースで、語岳はGPUベース。この2台を20テラビット/秒(テラは1兆)の高速ネットワークで接続して運用する。

富岳の後継機開発は実現可能性を調査するフィジビリティースタディーの段階にある。既存の富岳を最大限活用して大規模な基盤モデルなどの計算需要に応えていく。

世界一になると見込まれる米アルゴンヌ国立研究所のスパコン「オーロラ」はGPUとCPUを組み合わせて性能を引き上げた。語岳と富岳も組み合わせで実質オーロラ並みの計算能力を確保する。

富岳では米オープンAIの基盤モデル「GPT―4」級の学習に1年以上を要する。オーロラでは1週間から1カ月とされ、語岳と富岳の組み合わせなら同等の期間で計算できると期待される。

文部科学省は基盤モデルを保有する国と保有しない国の間で研究開発力や産業競争力に格差が生じることが避けられないとみて、24年度予算の概算要求にAIスパコン整備の関連費用を盛り込んだ。

日刊工業新聞 2023年月9月5日

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