水掘削・運搬…鹿島が月面施工技術の妥当性を確認
鹿島は自動遠隔建設機械による月面での作業を想定した実証実験で、特定領域における施工に必要な技術の妥当性を確認した。今後は宇宙航空研究開発機構(JAXA)、芝浦工業大学と共同で一連の作業を精緻に再現する月面大規模シミュレーターの開発を推進。さらに実証実験で得られたデータなどを活用し、月面上での作業を模擬する段階につなげていく。
JAXA相模原キャンパス(相模原市中央区)を指令拠点とし、バックホー2台とクローラーダンプ1台を神奈川県小田原市にある鹿島の実験場に配置。これらの建設機械を同時に稼働させ、自己位置の推定と環境の地図作成を同時に行うSLAM技術を使い、月での水掘削を想定した掘削・運搬作業シナリオに沿って実験を行った。
その結果、測位システムがなく通信の遅延が発生する環境でも、複数の建設機械を使って土砂の掘削・運搬作業を効率的に行えた。月の北極や南極のクレーター内部など周囲より低く長時間日の当たらない領域での作業に必要な構成技術、要素技術の妥当性を確認できた。
日刊工業新聞 2023年11月14日