次世代iPS細胞開発…京大iPS細胞研が3年内に試作品
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、第2世代のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発に着手した。現在のiPS細胞は樹立効率や分化効率の低さが課題。iPS細胞の歩留まりを改善するとともに品質を向上し、分化誘導した際に必要とされる細胞が90%以上含まれる次世代型の確立を目指す。2026年近傍に、プロトタイプを完成させる。
山中伸弥京大教授が作製した現在のiPS細胞は第1世代の位置付けで、これまでCiRAを中心とした臨床で使用したほか国内外の研究機関などへ提供してきた。iPS細胞を活用した治療の真骨頂は、自らの細胞を活用する自家iPS細胞移植。患者の身体の負担を抑えつつ治療効果を高められるためで、自家iPS細胞移植への期待は大きい。
だが樹立効率が低いままだと、治療に適用することは難しい。作製にかかるコストが増大することも予想される。また現状の神経や心筋を対象にした分化誘導は品質にバラつきがある。そこでiPS細胞を大幅に改良した第2世代と言える仕様を創出し、この課題を解決する。
CiRAは、日本医療研究開発機構(AMED)から「令和5年度再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム(再生・細胞医療・遺伝子治療研究中核拠点)」で採択された。これに基づき京大iPS細胞研究財団(CiRA財団)や自治医科大学、国立成育医療研究センターと協業し、この枠組みの中で第2世代iPS細胞の創出に取り組む。
日刊工業新聞 2023年11月08日