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東京海上「日本で一番人が育つ会社」へのレッスン

世界で通用するスペシャリストを作る
東京海上「日本で一番人が育つ会社」へのレッスン

働き方の変革に向けアイデア出しが進む(北関東・信越損害サービス)


海外研修は必須


 「当社のグローバル戦略はいよいよ第二ステージに移行する」。東京海上ホールディングス(HD)の永野毅社長は4月以降のHDの新体制発表で、こう宣言した。

 同社は2008年の英キルンから始まり、米フィラデルフィア、米デルファイ、米HCCと欧米の保険会社を買収し、事業と地域の分散をいち早く進めてきた。

 経営トップから管理職まで国籍を超えた交流も活発化。海外事業の重要性が増す中で、入社3年目までの海外研修の必須化、海外リーダーシップトレーニングなど人材育成も世界を意識したプログラムが組まれている。今ではHD全体の利益の半分を海外事業が占め、グローバル企業に向けた一定の経営基盤を整えた。

 16年度からの第二ステージはこれまで蓄積した経営資源のストックを活用し、グループ経営により踏み込んだ段階へとかじを切る。

 リスク管理、IT、資産運用、そして人事。こうしたHDが保有する機能に応じて、グループに横串を刺す委員会を複数設置する。大場肇常務執行役員は「外国人の従業員の意見をさまざまな意思決定に反映させていきたい」とし、グローバルベースで最適な意思決定を進める体制に移行する。

 この体制で求められる人材も、これまで以上にレベルアップが要求される。一つはリーダー層の育成だ。グループ傘下に海外企業が増える中で、経営を担えるリーダーの重要性も増してきた。各国の経営的なポストに従業員を配置し、活躍できる人材を育てている。

タレント増やす


 特定の分野にたけた専門人材の輩出にも力を入れる。買収した海外企業では資産運用、保険引き受けをはじめ、特定の分野に強みを持つ専門人材が多い。日本ではゼネラリストが比較的多いとされてきたが、世界で通用するスペシャリストの育成も課題となる。

 国内ではMS&ADインシュアランスグループHD、損保ジャパン日本興亜HDの3メガ体制に集約された。しかし、世界を広く見れば仏アクサ、独アリアンツなどグローバル保険プレーヤーが立ちはだかる。

 競争の舞台がより世界へと広がる中で、世界に通じる人材の育成も急務となっている。永野社長は「経営のリーダーシップが発揮できるタレントを増やし、質も高めていきたい。人材のレベルが上がれば、次の買収ができる力も備わる」と展望を話す。世界で通用するタレントの育成が進んでいる。

日刊工業新聞2016年3月8日/9日/10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
保険業界は人とシステムで成り立っている業界。他業界に比べて、ひとりひとりの人の重要性は高いと言っても過言ではありません。損保グループ国内最大手の同社の意取り組みはもちろん、追撃する業界他社の動きも気になります。

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