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日本で唯一”夜間”理学部、東京理科大が長期履修者を社会人学生全体に拡大する思惑

日本で唯一”夜間”理学部、東京理科大が長期履修者を社会人学生全体に拡大する思惑

理学部の夜間学部は人材の多様性が強みだ

東京理科大学は2024年度から、夜間学部である理学部第二部の長期履修制度の対象を社会人学生全体に広げる。これまでの対象は社会人特別入試の入学者だけだったが、多様な入試制度が活用されていることに配慮した。高卒後の入学者でも育児・介護などで同制度を活用する必要がある場合には対応する。科学技術の発展に重要な人材多様性を高めていく。

東京理科大の理学部第二部は、日本で唯一の理学部の夜間学部。長期履修制度は修業年限の4年でなく5―6年をかけて計画的に履修・卒業するもので1年次に選択できる。時間に余裕を持って学べる上、学費は通常のケースと同等のため年間当たりの費用負担も軽い。

現在、学生の2―3割を社会人学生が占める。リカレント(学び直し)のタイミングにより大学入試共通テストなど多様な入試を経ているため、制限をなくした。

理学部第二部では夜間部専任教員が昼間部と同じ施設を使い実験などの指導をする一方、学費は昼間部に比べ安い。大学院進学率は約3割で、教員免許を取得して転職するケースもある。23年度から第6時限の開始を18時10分に遅らせ、より多様な社会人を迎える工夫をしている。

大学でのリカレント教育は、新たな科学技術を生み出すための基礎を体系的に学べるのが特徴だという。学生は人工知能(AI)の場合は情報、統計・解析、データサイエンスなど、量子コンピューターの場合は量子力学から学んでいる。

日刊工業新聞 2023年10月11日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
大学の夜間学部の実情は正直、私もよくわかっていなかった。東京理科大の場合は「社会人と、高校卒業後すぐの新卒生との比率は、2対8ほど」「定員は充足、受験の競争率も悪くない」「卒業後に3割が進学」「教員免許取得を魅力に思う社会人学生もいる」等々、驚き満載だった。入試もその一つ、なんと6種類ほどもある。同大独自試験を選ぶ受験生が多いが、「社会人といっても皆が、社会人特別入試を経るわけではない」とのことで、複雑だ。入試形態がさまざまなのは、大学にとっては面倒なことだと思う。が、選択肢を多くすることが、多様な学生を集める重要な切り口でもあり、特に夜間部では必要なのだなと思い至った。

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