「洋上風力」リーディングカンパニーの地位確保へ…商船三井、相次ぎ協業
商船三井は浮体式洋上風力発電の設備メーカーや発電事業者との連携を加速する。10月に入り、事業開発や運営を行う仏EDFリニューアブルズとの協業や、浮体設備の設計・開発などを行うオドフェルオーシャンウィンドAS(ノルウェー)への出資を相次ぎ公表した。商船三井は洋上風力発電の支援などの事業を将来のコア事業に育てる方針。発電事業者にも関与して知見を深める狙いだ。(梶原洵子)
協業に合意したEDFは洋上風力発電で10年以上の経験があり、特に浮体式の技術開発に強みを持つ。商船三井はEDFを通じ国内外の洋上風力発電への出資を視野に入れるほか、供給網の構築、グリーン水素の輸送で協力を検討する。
オドフェルは独自の浮体設計技術「ディープシー」が強みだ。これは、過酷な海象条件エリアを含むさまざまな海域で、まだ世界で設置例のない15メガワット(メガは100万)以上の風車を設置可能な設計となっている。浮体式洋上発電は普及に向けて技術革新が求められており「オドフェルの浮体技術が確たる技術に裏打ちされた信頼の高い浮体になる可能性を感じた」(商船三井)ため、出資を決めた。出資額は非公表。
このほかに商船三井は、9月に風車や浮体設備の設計・開発を行う蘭タッチウインドへの出資を決めた。2021年にはスコットランドで世界最大の浮体式洋上風力発電プロジェクトを手がける英フロテーションエナジーとの協業に合意した。
洋上風力発電は大量導入が可能であり、大きな経済波及効果が期待されるため、欧州を中心に開発が進んでいる。商船三井は特に浮体式について、船会社の知見を生かせる分野とみて期待する。立地環境調査から設計、物流、建設、運用、保守点検まで総合的に支援を行っていく。
同社はこれまでに大型作業支援船を導入するなど、洋上風力発電分野でさまざまな取り組みを行ってきた。直近は洋上風力発電そのものの知見を深め、リーディングカンパニーの地位を確保するため、発電事業者や風車・浮体設備メーカーと連携を増やしている。