塗り絵で「半導体回路」設計、教育支援プログラムが面白い
有明工業高専が開発
有明工業高等専門学校の石川洋平准教授らは、「塗り絵」を使った半導体回路設計の教育支援プログラムを開発した。紙のハンドクラフトで回路を作る。これをメタバース(仮想空間)にも展開し、ゲーム感覚で学べる。さらにデータをCADへ入力し、実際にICチップを作製するまでを体験する。小中学生から楽しく学べる半導体回路の学習教材として普及を目指す。
提案する「サーキットデザイン(回路設計)教育」では、まず厚紙でフォトマスクを模した型を作り、これをトレーシングペーパーに写して半導体の部品となる部分を色塗りする。この「レイアウト設計」は、実際に半導体製造装置が行っているものだ。
その上で、これと同じ作業をメタバース上でも行うことで、回路構造の理解をより深める。プレイ時間を順位づけする「タイムアタック機能」で設計図を作るスピードを競うことで、ゲームをしながら学べるようにした。
さらに実際に使われているジーダットのCADツールを使い、トランジスタや抵抗、コンデンサーなどの部品をつなぎ合わせて回路を作るまでを体験する。実践的な教育に生かす。
半導体業界では人材育成が喫緊の課題だ。石川准教授は「専門家でなくても使える教材。多様な発想ができる回路設計の教育プラットフォームとして、数年内をめどに全国へ広めたい」と話す。
【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社
日刊工業新聞 2023年10月09日