小さな鍵型マルチツールに込められた 独自のアイデアと技術力
「Key-Quest(キークエスト)」は見た目もサイズも自宅の鍵のようだが、側面のぎざぎざはダンボールなどを開封する「カートンオープナー」、先端のくぼみは「糸切りおよびマイナスドライバー」、上部の平面部分に空いた穴は「ナット回し」、そしてフックのような形の部分は「栓抜き」と6 つの機能を備えた小さな「多機能ツール」だ。開発したのは打抜きのプレス加工および金型の設計を手がけるツカダ。2016 年の発売以来、5万本を売り上げたヒット商品だ。
銀座 蔦屋書店に工場発「モノづくり」ポップアップショップが出現!18社・約70製品が集結【伝統を守る仲間たちの協力】
開発を進めたのは同社の塚田浩生社長。よくダンボールを開ける際、梱包のテープが切れずはさみも見当たらないときは自宅の鍵のギザギザ部分でテープを切っていたのがアイデアの元だ。糸切りやドライバーなどの機能を付け足しつつ、何度も図面を書き直した。
同社が工場を構える岐阜県関市は「刃物の町」として有名。同社も地場産業の刃物加工の中で、「プレス加工」にて刃物の「カタチ」を金属板から抜き出す、まさに刃物造りの最初の行程を担ってきた。刃物に使われる素材は「SUS420 J2」というステンレスの中でも特に硬いものであり、高い技術を必要とする。周辺にも長年刃物をつくってきた企業があり、商工会議所の青年部の仲間としての親交も厚い。刃の部分の強度を上げる熱処理や、全体のバレル研磨など、今回の製品開で積極的に専門企業の協力を仰いだ。
また、設計上も工夫を施した。たとえば先端の「糸切り」は靴下のタグを切る際などに便利だろうと特に塚田社長が特に気に入った機能だ。持ち歩いてもらうためにどんな形で手が触れてもけがをしないよう、設計しなければならない。しかし先端の刃物部分は小指も入らない幅で、狭く奥まっている。試行錯誤の末、金型部品を加工するエンドミルで削り、刃付けをほどこした。ちなみに銃刀法違反にならぬよう、何度も警察署に出向き、意見をもらったという。
【「なんでも抜きます」せん断加工のプロとして】
同社はほかにも財布の中に数枚の名刺を傷めずに保存できる極薄名刺入れ「KEEP SMART(キープスマート)」なども開発・販売している。どちらの製品も多くのメディアに取り上げられ、売り上げとしてもある程度成功を収めたのだが、実はKey-Questを発売し大きく販売実績を残した翌年は会社としての売上が下がってしまった。同製品の売り上げが落ち着いたことも要因だが、塚田社長は「プレス加工に目が向いていなかった。この数字はその結果だ、と直感しました」と振り返る。
ちなみにKey-Questは来社した顧客へのお土産などにもなっており好評だ。加工技術と、同社の発想力も見てもらうことができる。小さな鍵がまさに同社をPRする「キーアイテム」となっているのだ。
商品情報
シリーズ名:OSUO シリーズ
商品名:Key-Quest
用途:携帯型のマルチツール
サイズ(mm):W62×D23×H2.5mm
価格(税込):2,800 円(税込)
販売サイト:https://osuo.theshop.jp/
企業紹介
(株)ツカダ TSUKADA CO.,LTD.
所在:〒501-3265 岐阜県関市小瀬554-1
従業員数:18名
事業内容:単発プレス加工、順送プレス加工、トランスファープレス加工
FACTORY’S GOODs 詳細情報
ポップアップショップ @銀座 蔦屋書店
会期:2023年 11月3日(金・祝)〜4日(土)12:00~20:00(最終日は19:00)
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM (東京都中央区銀座6丁目10−1 GINZA SIX 6F)
https://store.tsite.jp/ginza/
入場登録:不要
入場料:無料
店頭タイアップによるフェア @銀座 蔦屋書店
会期:2023年10月21日(土)~11月5日(日) 10:30~21:00
会場:銀座 蔦屋書店 (東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F)EATALY側展示台
https://store.tsite.jp/ginza/
技術展示&ポップアップショップ @東京ビッグサイト
会期:2023年 11月29日(水)〜12月1日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト 西2ホール (G-01)(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要(詳細は https://autumnfair.nikkan.co.jp/ 参照)
入場料:1,000円(入場登録者、招待状持参者、中学生以下無料)
特設Webサイト:https://biz.nikkan.co.jp/brand/factorysgoods/
展示会スポンサー
株式会社ソディック
株式会社青山財産ネットワークス
日進工具株式会社
牧野フライス精機株式会社
碌々スマートテクノロジー株式会社
一般社団法人日本工作機械工業会
株式会社アマダ
モノづくり日本会議