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「新NISA」激戦に…ドコモがマネックス証を子会社化、資産形成サービス強化の背景

「新NISA」激戦に…ドコモがマネックス証を子会社化、資産形成サービス強化の背景

(左から)前田義晃ドコモ副社長、井伊基之ドコモ社長、松本大マネックスグループ会長、清明祐子マネックスグループ社長兼CEO

NTTドコモはマネックス証券の連結子会社化で資産形成サービスを強化する。背景には2024年からの少額投資非課税制度(NISA)拡充がある。KDDIソフトバンクに続き、ネット証券会社をグループ内に持つことで通信と金融の融合を加速する。3メガバンクもネット証券会社との連携を強める中、業界をまたいだ新NISA需要取り込み競争が激化しそうだ。(総合1参照、編集委員・水嶋真人、同・川口哲郎)

「ドコモはマネックスと資産形成の世界を変えていく。初めての方でも手軽で簡単な資産形成サービスを提供する」―。ドコモの井伊基之社長はマネックス証券との提携理由をこう説明する。

ドコモは従来、クレジットカードの「dカード」やスマートフォン決済「d払い」の決済分野を中心に金融事業を強化してきた。だが、新NISAが近づく中、今回の提携は携帯通信業界で自社の顧客基盤を生かした資産形成サービスが本格化したことを意味する。

マネックス証券にとってもドコモが持つ9600万の顧客基盤の活用が資本提携の最大の狙いだ。マネックスグループの松本大会長は「ドコモは大変多くの顧客基盤とデータも持っており、顧客が何を必要としているか分析し、それに合わせたサービスを提供している。顧客中心のサービスを推進できる」と相乗効果を見込む。

マネックス証券の口座数は6月末時点で222万と、ネット証券最大手のSBI証券や楽天証券の5分の1程度にとどまる。資本提携により顧客基盤の拡大を図り、3―4年をめどに500万口座、預かり資産15兆円(6月末時点で約7兆円)にする。

新NISA需要獲得を巡っては3メガバンクもネット証券会社との連携を加速している。資産形成には銀行口座が欠かせない。ドコモは三菱UFJ銀行とデジタル口座サービス「dスマートバンク」を手がけているが、今後、メガバンクら銀行業界との関係に注目が集まる。


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日刊工業新聞 2023年10月05日

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