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油圧ショベルの残土7割減、大林組が新手法

油圧ショベルの残土7割減、大林組が新手法

ジオドロップを貼り付けたバケット

大林組は土工事や地盤改良工事で、油圧ショベルのバケットに土砂が残る問題を低減する手法を確立した。フッ素樹脂(PTFE)を鉄板やステンレス鋼板に直接接合した部材を開発。これをバケット内に貼り付けることで滑りやすくし、掘削や積み込みの時間を短縮する。残った土砂を振り落としたり取り除いたりする作業を減らせるため、騒音や振動を抑える効果も見込める。建機レンタル会社に提案する。

大林組と大林道路(東京都千代田区)、ヒロテック(広島市佐伯区)が専用部材「ジオドロップ」として開発した。両面テープで底面・側面に貼り付けた上で、接着剤によって周面を固めて土砂が入り込むのを防ぐ。0・45立方メートルクラスの油圧ショベルの場合、清掃から部材の貼り付けまで作業員1人が約1時間で完了できる。建設現場の作業に1時間導入し、残土を約7割減の15キログラムにできたという。

ジオドロップの導入によって、バケット内に残った土砂を振り落とす揺動作業や鉄板に当てる衝撃作業を従来より9割程度削減。発生する騒音が12デシベル程度低くなることも確認した。作業効率の向上と併せて、油圧ショベルの稼働時間も約1割短縮できる。結果として排出される二酸化炭素(CO2)も1割程度減らせた。数年単位での交換が必要なバケットの延命化にもつなげられるとみる。

併せて、PTFEが摩耗した場合も効果が継続することを確認した。有機質土や海成粘土に加え、笠間粘土やベントナイト混合土でも同様の効果を引き出せる。土工事や地盤改良工事、杭工事など油圧ショベルを用いる工事での利用を想定し、他の建機や自動・自律運転建機への展開も検討する。これまで大林組の技術研究所実証フィールドと都内の2現場で導入。さらに2現場でも検証する。


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日刊工業新聞 2023年07月21日

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