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三菱UFJ銀・東京海上日動がTCFD情報開示支援サービス拡大、対応力問われる

三菱UFJ銀行と東京海上日動火災保険は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく情報開示支援サービスを拡大する。生物多様性の保全などTCFD関連の領域が広がる中、これらニーズが高まる分野への対応力を強める。また今秋にも簡易なコンサルティングを始める。主な顧客層の東証プライム上場企業に訴求し、企業価値の向上を後押しする。

東証プライム市場の上場企業は2022年4月からTCFD相当の情報開示が実質的に義務化された。開示項目が多く負担が大きいため、三菱UFJ銀と東京海上日動は情報開示支援サービスを22年度に開始。23年度も引き続き同企業を中心に提案し、22年度実績比で倍増を目指す。

支援メニューの事例としては社内勉強会や他社事例調査、気候変動の開示に必要なシナリオ分析、影響・戦略策定などを挙げる。期間は半年程度。

一方、足元では、生物多様性やサーキュラーエコノミー(循環経済)へのニーズも顕在化している。これらの情報を把握した上で気候変動問題に対応できるようにする。また簡易にシナリオ分析ができるシステムを活用し、今秋以降スタンダード上場企業などにも展開する。

日本取引所グループ(JPX)が1月に実施した上場400社への調査によると、102社がTCFD提言の推奨11項目すべてを開示していた。一方で開示ゼロが82社となっており、開示に意欲的な企業と、十分ではない企業に二極化していると想定される。

生物多様性保全の開示をめぐっては、世界的な潮流になりつつある。22年末の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では新たな世界目標が定まり、企業に生物多様性への依存度と影響を評価して定期的に報告する内容が盛り込まれた。

ESG(環境・社会・企業統治)投資が拡大する中、上場企業には気候変動問題の報告について広範な対応が求められている。三菱UFJ銀と東京海上日動は最新動向も踏まえ、開示・戦略の高度化を伴走支援する。


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日刊工業新聞 2023年09月13日

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