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キヤノン、複合機事業の資源循環率を50%に引き上げ

キヤノンは複合機やプリンターなどプリンティング事業の資源循環率を2030年に22年度比34ポイント増の50%に引き上げる。販売総重量に占める再生材料の割合を示す数値で、22年度実績は約16%だった。製品ライフサイクル全体で脱炭素やグリーン・トランスフォーメーション(GX)を進める。複合機メーカーは90年代から自主的に使用済み製品の回収を行うなど業界全体で環境負荷低減に取り組んでおり、この動きが一段と加速する。

キヤノンは製品単体ではなくサプライチェーン(供給網)全体でのGX対応を強化しており、まず25年には資源循環率を20%に引き上げる。再生の中核拠点であるキヤノンエコロジーインダストリー(茨城県坂東市)が資源のリサイクルや再生機生産などを担う。複合機やプリンターなどの使用済み製品を回収後、分解・仕分けし、リユース・リサイクルする。

再生機の部品リユース率向上を目指す

資源循環率を高めるため、リサイクル材の高付加価値化と再生製品の原価低減を推進する。鉄や非鉄、プラスチックなどの分別純度の向上に加え、再生機に占める再利用部品の比率を向上させることで原価低減を進める。また自社製品に搭載する再生材の種類や生産量を増やす。

キヤノンが定めるプリンティング事業の資源循環率は、キヤノングループ全体での出入りで量を計測し、複合機の新造機や再生機、トナーやトナーカートリッジなどを含む。

複合機業界では再生資源を循環するサーキュラーエコノミー(循環経済)の取り組みが進む。リコーは再生部品・消耗品を含む再生機や再生材の使用率目標を30年に40%に、50年に88%に引き上げる。セイコーエプソンは鉱物や化石燃料などの地下資源消費を50年までにゼロにする方針。

日刊工業新聞 2023年09月08日

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