三菱ケミカルGが高純度溶剤増強、半導体関連需要に対応
三菱ケミカルグループは岡山事業所(岡山県倉敷市)で高純度溶剤「γ―ブチロラクトン(ガンマブチロラクトン、GBL)」の生産体制を増強する。成長領域である半導体関連などの需要増に対応する。同社は半導体分野などを注力市場と捉えており、石油化学関連を担うベーシックマテリアルズ領域のGBLといった付加価値製品の強化にも力を入れる考えだ。
傘下の三菱ケミカルの岡山事業所でGBLの生産能力を増強する計画。増強後の生産能力は従来比2000トン増の年間2万トンを見込む。2024年7月の稼働を予定。投資額は非公表。
GBLは凝固点が低く、沸点が高い安定的な物質で、特異な溶解性や電気特性を有する点が特徴。コンデンサー用電解液や半導体洗浄剤、N―メチル―2―ピロリドン(NMP)の原料などに使用されている。
NMPはリチウムイオン電池(LiB)材料や半導体洗浄向けなどの用途に使われている。
電気自動車(EV)シフトなどを見据え、LiBや半導体の市場は今後も継続的な成長が見込まれており、国内需要も旺盛。こうした半導体関連などの需要増に対応するため、GBLの生産体制の増強を決めた。またNMPの原料となるGBLの生産体制を増強することで、NMPについて原料面を含め増産できる体制を整備する考えだ。
三菱ケミカルグループは国内唯一のGBLとNMPメーカーで、国内市場でトップシェアを握る。より化学品の川上を担う石化関連のベーシックマテリアルズ領域のうち、GBLやNMPといった成長領域において需要増が見込める付加価値製品の強化に力を入れていく。
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日刊工業新聞 2023年08月30日