凸版が電極部材量産で水素エネ市場取り込む、売上高100億円へ
凸版印刷は17日、燃料電池などに使う電極部材の量産を始めたと発表した。高知工場(高知県南国市)で年間に燃料電池車(FCV)約2000台分を生産する。独自の製造方式や添加剤により、水素を活用する際の電極部材のエネルギー変換効率や耐久性を高めた。投資額は非公表。月内にも販売を始める。水素エネルギー市場の成長を取り込んで事業拡大し、2028年に年間100億円の売り上げを目指す。
量産を始めた触媒層付き電解質膜「CCM」と膜電極接合体「MEA」は、水電解装置や電解槽、燃料電池の中核部材。水素イオンを通し、電子を通さない性質を持つ。
シート状の電解質膜の両面に触媒インクを直接塗工し、1枚ずつ処理する枚葉式で製造することにより、電解質膜と触媒層の密着性を高めた。水素の製造時や利用時の電気抵抗が低減し、エネルギー変換効率が向上した。
独自の添加剤で触媒層の空隙率を制御し、水素を利用する際の水の排出を促進する。電極部材の耐久性が高まり、FCVの総走行距離の延長につながる。
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日刊工業新聞 2023年08月18日