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傾けると潜像が現れる…凸版印刷が開発したホログラム技術がスゴい

傾けると潜像が現れる…凸版印刷が開発したホログラム技術がスゴい

凸版印刷が開発したトワイライトグラム(通常時)

凸版印刷は傾けると文字や絵などの潜像が現れるホログラム技術を開発した。潜像が出現しない場合、偽物であると判断でき、専用の器具や知識を持たない一般消費者でも目視で容易に真贋(ルビ、しんがん)判定できる。同社によるとこうした効果を持つホログラム技術は世界初という。模造品被害が世界で増える中、高価な精密機械部品や化粧品・医薬品のパッケージ、ライセンスグッズ、金券の偽造・模倣品防止などの用途に提供する。

凸版印刷は同技術を使ったラベルを27日に発売する。消費税抜きの価格はサイズやデザインにより変動するが100万枚製造時に1枚5円から。2030年までに関連受注を含めて累計10億円の売り上げを目指す。

開発した「トワイライトグラム」は一般的なホログラムと異なる特殊構造を持つ。国内で特許を取得済み。製造には従来以上の技術と精度が必要なため、偽造が難しい。

凸版印刷が開発したトワイライトグラム。傾けると「TOP」の文字の潜像が出現

ホログラムの輝きは表面の微細構造による光の回折という物理現象を利用する。一般的なホログラムの構造から生まれる回折光は、見る角度が同じ場合、左右から見た際に同じ色が見える「色の角度対称性」を持つ。

トワイライトグラムは、同構造とともに見る角度が同じでも左右から見た際に別の色が見える「色の角度対称性が崩れた回折光」を生む構造も併せ持つ。潜像は色の角度対称性が崩れた回折光により、出現する仕組み。

偽造や模造品による経済的・社会的な悪影響は22年に世界で約515兆円に達したともいわれる。近年は技術水準の向上により、単純な構造のホログラムは偽造可能になりつつあるため、複雑で偽造困難なホログラムが求められていた。

トワイライトグラムは、同社のパステル調の構造色を発色するホログラム「セキュアカラー」やライトを当てると潜像が浮かび上がる「イルミグラム」など既存のホログラム製造技術との併用も可能。高度な偽造防止につながる。

日刊工業新聞 2023年04月27日

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