三菱電機・三菱重工が発電機生産集約、事業統合で競争力強化
三菱電機と三菱重工業が2024年4月に発足する発電機事業の統合新会社は、発電機の生産を三菱電機の電力システム製作所(神戸市兵庫区)に集約する。三菱重工の日立工場(茨城県日立市)では発電機のメンテナンスを継続する。統合効果で経営を効率化し、火力や原子力、水力発電などで使用する発電機事業の国際競争力を強化。新会社は大型ガスタービン世界シェア首位の三菱重工とともに、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスなど競合企業に対抗する。
新会社の出資比率は三菱電機51%、三菱重工49%の見込みで、出資金額は今後詰める。本社は神戸市内に設置する。売り上げは年間数百億円規模を想定する。発電機の設計・製造や品質管理、アフターサービスなどが統合対象になる。
統合効果による規模の拡大によって調達コストの削減やリードタイムの短縮などを狙うほか、工場の稼働率を高めることも期待する。発電機事業の価値を最大化し、競争力の強化につなげる。中長期的には新会社による新しいブランドでの発電機の設計・製造も検討していく。
また、両社それぞれが発電機やタービン関連の海外拠点を持っているため、統合によって保守・管理などでのサービスを拡充し、今まで取りこぼしていたような案件も受注につなげていく。
電力システム製作所では受注する発電機の生産のほか、メンテナンスなどを担う。日立工場では発電機のメンテナンスを継続するほか、主力である中小型のガスタービンなどの生産を続ける。
世界的なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の流れやロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー安全保障の高まりを受け、天然ガス火力発電所や原子力発電所の新増設が中長期的に広がることが予想される。また再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力系統安定の調整電源としての火力発電の存在感も高まる。国際競争力を高めることで、こうした需要に対応していく。
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