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鹿島・竹中・清水…ゼネコン技術連合が挑む資材自動搬送、その中核システムと解決すべき課題

ロボット変革―ゼネコン技術連合が描く未来像 #1
鹿島・竹中・清水…ゼネコン技術連合が挑む資材自動搬送、その中核システムと解決すべき課題

作業員の付帯作業を減らし、コア作業に専念できる環境を整える(竹中工務店と鹿島が開発した「スクイニー」)

ゼネコン各社が一体で挑む“協調領域”の技術開発が、実用化に向けた第2段階に入った。主導するのは施工ロボットやIoT(モノのインターネット)技術を使った施工支援ツールの実装を掲げ、2021年に発足した「建設RXコンソーシアム」(村上陸太会長=竹中工務店常務執行役員)だ。ゼネコン29社と建機レンタルやロボット、通信といった194社が知見を持ち寄り、担い手不足や働き方改革など建設現場が直面する課題の解決を目指す。各分科会の取り組みを追う。

「作業員にとって付帯作業にあたる資材搬送を自動化し、高いスキルが必要なコア作業に集中できる環境を整える」。竹中工務店技術研究所の多葉井宏グループ長は、主査を務める「資材の自動搬送システム分科会」の役割をそう位置付ける。求められるのは必要なときに必要な場所へ、遅滞なく資材を供給するシステムやロボットの開発・導入だ。試算ベースで20%の生産性向上を目標とする。

その中核を担う基盤が、竹中工務店が手がけた「建設ロボットプラットフォーム」と鹿島の「自動搬送管理システム」だ。これを竹中工務店と鹿島が開発した「スクイニー」や清水建設の「ロボキャリア」など、各社が仕上げた搬送ロボットや仮設エレベーターなどと連携。建設現場での試行と改良を経て「どのゼネコン・現場でも使える枠組みにする」(多葉井グループ長)方針を打ち出す。

各社の技術を組み合わせるだけあって、その開発スピードは速い。分科会は22年に既存のシステムやロボットを連携させる技術開発に着手。すでに「ロボットが資材を積んでエレベーターを呼び、施工フロアで下ろす仕組みは完成した」(同)と明かす。動作ごとの検証も終えており、今夏にもこれを連続させる実証を計画。各社が個別開発する非効率さやコストの問題を、早くも解消してみせた。

もちろん、解決すべき課題はまだある。その一つが、建築の3次元モデリング技術「BIM」との連携だ。搬送ロボットはBIMのデータを取り込むことにより、事前の地図作成を不要にしたのが特徴だ。

ただ、現状ではBIMから自動運転に必要なデータを抽出する作業が不可欠。多葉井グループ長は「ここに時間とコストを要している。準備段階を効率化する余地は大きいはずだ」とみる。

今後は、搬送の自動化で引き出す効果の検証にも乗り出す。建設現場で各種資材の加工や取り付けを担当する作業員だけでなく、エレベーターの操作や資材の搬送を専門とする作業員の生産性も集約・分析。単一のシステムやロボットの操作方法を習得するだけで済む利点もまとめる。工事全体の生産性向上にもたらす影響を可視化した上で、自動搬送システムの仕様などに反映していく考えだ。

日刊工業新聞 2023年08月02日

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