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東京メトロと連携、都営地下鉄全線で構造物管理を効率化

東京メトロと連携、都営地下鉄全線で構造物管理を効率化

東京都交通局は都営地下鉄の構造物管理にアプリを導入した

東京都交通局は構造物を管理するシステムを都営地下鉄全線に導入し、活用を始めた。導入したのは東京メトロが開発したアプリケーション「MRSI(Metro Railway Structure Inspection)」で、これまでの検査のデータや画像を電子化し、管理、登録ができる。従来のデータをすぐに確認できるほか、検査作業の結果もすぐに登録することができる。MRSIの導入により、構造物管理業務の効率化につなげる。

東京都交通局では、都営地下鉄のトンネルなどの構造物の検査を、2年に1回実施している。検査区間は3カ月で区切り、常時どこかの区間で検査作業が行われている。検査によって水漏れやヒビ、コンクリートの剝落などを確認し、状況によって、補修工事などを対策をとる。

検査は運行終了後の深夜に徒歩で移動しながら、壁面や天井の水漏れやヒビなどの変状を確認する。変状があった場合は、その状態などを記録し、必要に応じて写真を撮影する。従来は紙で記録し、保管、管理し、検査結果の記録には1―2日の時間を要していた。MRSIの導入により、データの閲覧も即時に可能となり、検査と同時にデータの登録ができる。

MRSIは東京メトロが開発し、2015年から構造物検査作業に導入している。東京都交通局では、東京メトロと連携し、導入を検討。導入に当たり、20年から従来の記録を電子化するなど準備を進めた。また、従来のフォーマットで記録できるように、入力項目の整理や変更、記録簿の出力など、機能を一部カスタマイズした。

22年に都営新宿線の一部の区間で試験導入し、23年度から全線で本格的に導入を始めた。東京都交通局では作業効率化の効果を見極め、保線などの作業でもシステムの導入が可能かどうかを、検討する。

日刊工業新聞 2023年08月09日

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