300ルート見直し…日本製紙は「物流2024年問題」にどう対応するか
日本製紙は紙・板紙の2024年度以降の出荷で、現行の対応が難しくなる約300ルートで倉庫の配置や保管のあり方を見直す。トラック待機時間削減などに対応するため、顧客や取引先に発注の前倒しを要請し、今後の意向を確認中。発注が早まれば現行ルートのままとし、従来のペースであれば消費地に近い場所での倉庫の確保や中継倉庫の整備を進める。関連コストを抑えつつ物流問題への改善に取り組む。
日本製紙は23年1月に「物流24年問題」に対応する社内プロジェクトチームを設置。12の紙・板紙工場で出荷状況を洗い出した結果、全ルートの十数%に当たる約300ルート(板紙約7割、紙約3割)に課題があるとして精査している。
約300ルートの顧客・取引先には発注の前倒しについて意向を聞いており、9月までに倉庫における保管量のあり方を詰め、23年度中に倉庫配置を見直して実施に移す。
板紙のルートは70%がトラックによる顧客への直納。段ボール関連の顧客からのオーダーはぎりぎりで納期も短くなりがちと言う。
24年問題で指摘される配車リードタイムの確保には計画的な出荷が必要で、発注の早期化交渉が欠かせない。顧客のやむを得ない事情も考慮し、高速道路利用や消費地倉庫での保管なども検討する。
倉庫配置の見直しでは、対象ルート内に約20ある自社系倉庫を軸に、自社の敷地を有効活用する。例えば板紙の中継倉庫に遊休スペースのある洋紙工場を活用したり、既存の出荷レーンを増設したりする考えだ。日本製紙の紙・板紙出荷における輸送手段は現状、トラック50%、船32%、鉄道18%。トラック依存からの脱却も課題だ。
日刊工業新聞 2023年07月28日