ニュースイッチ

耐久レース会場でトヨタが公開した水素エンジンの進化

耐久レース会場でトヨタが公開した水素エンジンの進化

ジョイントの小型化や給水素手順の自動化など2カ月で改善を進めた

トヨタ自動車水素エンジンが進化を遂げている。5月末に開かれた富士スピードウェイ(静岡県小山町)での24時間耐久レースから約2カ月で、液体水素を燃料とした車両の耐久性向上、軽量化、給水素操作の自動化などを実現した。将来の市販化に向け超えるべき課題は多いが、耐久レースの場などを通じて、日々改善を進めている。

7月29―30日にオートポリス(大分県日田市)で実施したスーパー耐久レース会場で水素エンジンなどの進化を公開した。タンクから液体水素をくみ出しエンジンに供給するポンプではギアに緩衝構造を追加して耐久時間を約30%向上。5月には10時間だった使用時間を13時間に延ばした。一般的な摩擦は潤滑油で軽減するが、水素に潤滑油が混じるため同車両では利用できない難しさがある。

また、レースで収集したデータからバルブや配管などを最適化し、5月時より車重を40キロ減の1910キログラムに軽量化。水素の供給時に必要なジョイントも水素にふれない部分をアルミに変更するなど構造を見直した。水素を車両に供給するための操作手順も14工程の一部を自動化し、5工程に縮めるなど、給水素の安定・効率化につなげている。


【関連記事】 トヨタグループも注目、熱源を操り省エネを実現する愛知の実力企業
日刊工業新聞 2023年07月31日

編集部のおすすめ