欧州R&D拠点を2カ所に、トーヨータイヤがEVタイヤ開発で競争力強化
トーヨータイヤは2025年度までに、セルビアに自動車タイヤの研究開発(R&D)拠点を開設する。走行テストコースも備えるセルビア工場(インジヤ市)とR&D拠点が連携し相乗効果を高め、電気自動車(EV)に適する高耐久性タイヤなどを欧州向けに開発する。ドイツの欧州R&Dセンター(ノルドラインベストファーレン州)は情報収集拠点として残す。欧州のR&Dを2拠点に拡充し、競争力を強化する。
22年12月に欧州初の工場として開所したセルビア工場は直線720メートル、周回1690メートルのテストコースを併設する。実車にタイヤを装着した走行テストで、欧州法規制の認証に適応する評価を短期間に行える。そこで5カ年経営計画の最終年度となる25年度までに、開発の能力向上や迅速化を図り、テストコースがあるセルビアにR&D拠点を新設する。設置場所は今後詰める。
トーヨータイヤはセルビアの地元大学と技術の共同研究を進めている。セルビアはリチウムが豊富で、EV産業の拠点や人材が集まる。セルビアでのR&Dでは、こうした地の利も生かす。欧州では重いバッテリーを積むEVに適する高耐久性や、路面をとらえるグリップ力などに優れるタイヤの開発を目指している。セルビアのR&D拠点は、このようなタイヤに必要な原料配合などゴム練り技術を手がける。
トーヨータイヤは米国や日本で、スポーツ多目的車(SUV)などの大径タイヤを強みとする。現地生産が遅れていた欧州でも競争力を強化する考え。欧州で進むEVシフトの需要をつかんだタイヤなどを開発し、販売力を底上げする。
セルビア工場に先立つ19年には欧州R&Dセンターを開設し、最新の材料技術の研究と情報収集を手がけている。
ドイツは欧州経済の中心で、規制の動向や適応技術の情報が集中している。そこで同センターも情報拠点として存続させ、独・セルビアのR&D2拠点体制を整える。