大径タイヤの競争力伸ばす、トーヨータイヤが導入「タイヤ混練装置」の効果
トーヨータイヤはシリカなどの成分を均一に配合できるタイヤ原料混練装置「タンデムミキサー(TM)」を2026年に米国工場(ジョージア州)に導入する。転がり抵抗が低く静粛性も高いタイヤを製造でき、バッテリーで荷重が大きくなる電気自動車(EV)の大径タイヤに適する。米国に続き日本の工場にも導入する。EVタイヤの開発・製造能力を高め、強みとする米国などで大径タイヤの競争力を伸ばす。
TMは二つの混練機が上下に連結し、上の混練機でシリカやコンパウンド(混練樹脂)などを混ぜ、下で成分調整や合成も行いタイヤの基礎になるシートを製造する。かみ合わせの混練技術で微小なレベルでの均一な成分配合が可能になり、製造時間も短縮する。
26年に米国工場、同年以降に仙台工場(宮城県岩沼市)か桑名工場(三重県東員町)に導入する。技術力が優れる欧州メーカー製のTMを採用する。投資額は明らかにしていないが、トーヨータイヤとして22年にセルビア工場(インジヤ市)で初めて設置したTMに次ぐ新鋭装置の追加導入となる。
EVは大型バッテリーを搭載するため荷重が増し、タイヤの負荷も増大する。TMで原料を製造すれば、ゴムの吸排水性を高め硬化も抑える働きのシリカなどを均質に配合でき、変形を抑えられる。空力抵抗を減らす形状設計を加えれば、転がり抵抗も低減する。省エネルギーで電費性能が高く、静粛性も優れたEVタイヤを作れる。
同社は回転成形ドラムにリボン状に押し出したゴムを巻き取り、貼り合わせる独自のタイヤ成形工法を進化させてきた。巻き始めと終わりに小さな切れ目が生じるだけで、大きな貼り合わせ箇所がなくなり、回転走行の均質性能が向上する。TMと独自のタイヤ成形工法を組み合わせた高度な製造も可能になる。混練ではTMが標準工法にもなりつつある。EV化の拡大も踏まえTMを増やし、大径タイヤの販売力を強める。