日東工作所が開発した「水素ロータリーエンジン」の実力
日東工作所(大阪府枚方市、更谷雄三社長)は、小型発電機用の水素ロータリーエンジン(RE)を開発した。燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素を燃料とし、排気量80ccで1分間に3600回転、4時間弱の連続運転に成功した。動力試験で1キロワットを超える出力を得られており、小型発電機やマイクロモビリティー駆動に使えるという。発電機メーカーなどに今回のREシステムを提案し、早期の実用化を目指す。
水素REは、同社がラジコン模型飛行機用で製品化したガソリン燃料の排気量20ccREで培った精密加工技術を駆使し、2019年に開発を開始。燃焼工学に精通する京都大学の塩路昌宏名誉教授が技術顧問となり、社内に動力実験室を構え、3次元測定器なども導入し、実験を重ねてきた。
家庭用ガスヒートポンプ(GHP)のガスエンジンにも採用されたミキサー方式を用い、水素と空気を一定割合で混合し出力を可変する。動力実験では回転速度や出力、水素・空気流量、各部の温度など10項目以上のデータを15秒ごとに収集し最適な条件を導き出し、長時間運転で高出力・高効率を維持できるエンジンを実現した。
燃料は水素以外にガソリンや灯油、液化石油ガス(LPG)、都市ガス、バイオガスなどの多種燃料を使え、非常用発電機などでも需要が見込めるという。「バンケル型ロータリーエンジンは構造的に水素燃料に適し、ローター軸を発電機に直結して極めて軽量・コンパクトにできる。得られた実験データから、実用化に耐える小型発電機になる」(更谷社長)としている。
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日刊工業新聞 2023年月7月18日