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容量1.8倍…全固体電池向けに厚さ1mmの厚膜電極を開発

東工大、産業化へ一歩
容量1.8倍…全固体電池向けに厚さ1mmの厚膜電極を開発

今回発見した新材料の基本組成の物質の結晶構造(東工大提供)

東京工業大学の堀智特任准教授と菅野了次特命教授らは、厚さ1ミリメートルの全固体電池用厚膜正極を開発した。電極容量は1平方センチメートル当たり25ミリアンペア時以上と従来の1・8倍に増えた。電極の作成はシンプルな乾式プロセスを使える。コストや安全性に優れる。全固体電池の産業化に向けた一歩になる。

固体電解質としてリチウム・ゲルマニウム・リン硫化物の一部元素をケイ素や臭素、酸素に置換したイオン伝導体を開発した。イオン伝導率は1センチメートル当たり32ミリジーメンスと、置換前の2・3―3・8倍の伝導率を示した。

結晶構造を中性子回折で調べると、陰イオンの位置に酸素と臭素と硫黄が等しい割合で存在していた。不規則性が高く、リチウムイオンが通過する際のエネルギー障壁が半分になる。リチウムイオンが出入りしやすく、電極の厚みを1ミリメートルと厚くしても理論値の9割の容量を取り出せた。

リチウム金属電極と組み合わせ電池セルを作製すると、60度Cでの電流密度は1平方センチメートル当たり10ミリアンペア、容量は同20ミリアンペア時だった。面積当たりの容量はトップクラスになる。成果は米科学誌「サイエンス」に掲載された。


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日刊工業新聞 2023年07月08日

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