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「舶用中空バルブ」業界初の量産、NITTANが攻勢

「舶用中空バルブ」業界初の量産、NITTANが攻勢

舶用エンジンバルブ(右端は30cmのスケール)

NITTANは2024年から船舶用エンジンの環境負荷低減に対応する新部品の量産を始める。24年度に4ストロークエンジン向けの冷却効率に優れる中空バルブ、25年度に水素やアンモニアなどの温室効果ガス(GHG)フリー燃料に対応した舶用中速エンジン向けバルブと、摩耗しにくくメンテナンス頻度を抑えられる舶用油圧バルブリフターの量産を始める。神奈川県秦野市の工場などで加工工程の追加といった量産準備を始めた。

舶用中空バルブの量産は業界で初とみられる。中空構造のバルブ軸部分に特殊冷媒を封入する。硫黄酸化物(SOx)規制に対応した低硫黄燃料油などの燃焼温度の上昇を調整でき、ノッキングを防止して出力の向上や燃費の改善、バルブの摩耗抑制につながる。比較的安価な材料を使って機能を実現できるメリットもある。

GHGフリー燃料対応のバルブは、形状の工夫により水素やアンモニアといった燃料の燃焼温度を抑える。エンジンのシリンダー内温度を調整し平準化してノッキングの発生を抑える。

バルブリフターは、エンジンバルブを開閉するカムとバルブの隙間に入る部品。温度上昇によるバルブの伸びなどで変化する隙間の大きさを調整する。重油を液化天然ガス(LNG)やバイオ燃料を使った混合燃料などに置き換える際に課題となる潤滑性や温度上昇に対応する。

自動車エンジンバルブが主力のNITTANは、電動車に対応した新部品の開発・生産を進めつつ、既存の内燃機関向け部品では脱炭素化対応などの高付加価値化に取り組む。舶用エンジンは、重油からSOxや二酸化炭素(CO2)の排出の少ない燃料への移行が進み、部品にも燃焼温度の調整や耐久性向上といった性能が求められる。同社は秦野市の堀山下工場などでこれら新部品の量産体制の準備を進め、水素の燃焼テストに使う評価用設備も導入。投資額は3年間で3億―4億円を見込む。

日刊工業新聞 2023年07月05日

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