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実需伸び悩み…日系電子部品の世界出荷、6ヶ月連続前年割れの背景

実需伸び悩み…日系電子部品の世界出荷、6ヶ月連続前年割れの背景

電子部品イメージ

電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた日本メーカーによる4月の電子部品世界出荷額は、前年同月比5%減の3305億円だった。2022年11月以降、6カ月連続の前年割れとなった。最大の輸出先である中国の景気回復ペースの遅さや、スマートフォン販売の不振を背景に、電子部品の実需が伸び悩んでいる。スマホメーカーなどの顧客と電子部品メーカーの双方が部品在庫の圧縮を進め、実需以上に出荷が落ち込んだとみられる。

品種別に見ると、スマホなどの中で電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路のノイズを除去し、電圧を安定させるコンデンサーは同11%減の1084億円。コンデンサーと組み合わせて電流の波をなだらかにするインダクターも同15%減の217億円だった。

出荷額の3割超を占め、地域別では最大の中国向けの不振が背景にある。現地では景気回復が遅れ、「ゼロコロナ」政策後の復調への期待がしぼみつつある。スマホの現地販売も振るわない。景気の伸び悩みに加え、スマホの機能の成熟や中古スマホ市場の拡大なども影を落とす。

こうした状況を受けてスマホメーカーは手持ちの電子部品在庫の圧縮を加速。電子部品メーカーの出荷量は、もともと少ない実需よりさらに落ち込んだとみられる。中国では国内外のメーカーが新型電気自動車(EV)を相次ぎ投入し、高電圧や大電流に対応した積層セラミックコンデンサー(MLCC)などの需要が増えているものの、スマホ向け部品の落ち込みを補いきれなかったもようだ。


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日刊工業新聞 2023年07月03日

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