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宴会需要が増えてきた!、業務用瓶ビール回復顕著

業務用瓶ビールの回復が顕著になってきた。容器別の缶・樽(たる)・瓶のうちで5%強ほどと存在感が小さくなっているが、ホテルや結婚式場などの施設では瓶ビールが提供されることが多い。大手4社が12日発表した5月の業務用(瓶・樽)販売量は前年同月比約20%増と好調で、瓶の伸び率が21%強と樽を上回った。これは2カ月連続となり、新型コロナウイルスの5類移行でホテルなどでの宴会や結婚式といった大型イベントが増えてきたことが背景にあるようだ。(編集委員・井上雅太郎)

アサヒビールは「4、5の両月ともに瓶の伸びが(樽を)上回っている。パーティーなどの大口需要が足元で回復していると言える」と実感。キリンビールも「当社の業務用は15%増で、瓶の伸びが樽に勝っている。宴会などが増えているのでは」と分析する。サントリーは「宴会などの回復の幅が大きいようだ」とし、サッポロビールも「新型コロナウイルス感染症の『5類』移行でホテルや式場の宴会需要がみられ、瓶が回復している」という。

業務用ビール需要は2023年1月に前年同月比約60%増、2月に同2・5倍、3月に同約40%増、4月に約9%増と落ち着いてきたものの高水準に推移している。このうち瓶の需要は4月に同11%弱増、5月に同約21%増で、樽の同8%強増、同18%弱増を2カ月連続で上回っている。

業務用瓶ビールは料飲店向けもあるが、主にホテルや結婚式場といった施設向けに出荷することが多い。このことから結婚式やセレモニー、大規模宴会などの大口の催しが復活してきたことを反映していると言える。これら施設では4社のビールを仕入れるため、4社がほぼ同様の傾向になる。

4社が12日に発表した5月のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の合計販売数量は業務用の堅調な伸びなどにより同1%増と2カ月ぶりにプラスに転じた。業務用ではアサヒが同16%増、キリンが同15%増、サントリーは同26%増、サッポロビールが同20%増と各社がともに大きな伸びを確保している。

5月の大型連休の効果や新型コロナの感染症法上の5類移行による人流回復により、外食や会食が増えてきたことが要因。これに加えて結婚式やセレモニーといった大型イベントもここにきて需要が出てきていることが明らかになった。

日刊工業新聞 2023年06月13日

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