日野自動車が米国で大型EVトラック販売に参入する狙い
日野自動車は2024年後半から米国市場で電気自動車(EV)大型トラックの販売に参入する。日野モータースセールスU.S.A.とノルウェーのヘキサゴンプルスが協業。日野自の大型ボンネット型トラックにヘキサゴンプルスの主要電動システムを搭載し、30年までに1万台の販売を目指す。
日野自が北米向けに生産する大型ボンネット型トラック「XLシリーズ4×2」のシャシーをベースに、ヘキサゴンプルスがバッテリーパック、周辺機器、ソフトウエアなどを搭載してEV化する。「環境に配慮した車両が求められており、電動車普及の一助となるべくシャシーの提供や販売で協力していく」(日野自)。
日野自は20年にゼロエミッション車の開発ロードマップを発表。ヘキサゴンプルスなど複数社と電動化技術で連携するほか、燃料電池トラックの開発も進めている。24年に経営統合を予定する三菱ふそうトラック・バスとも電動化技術で協力する見通し。
今回の大型EVトラックの量産にあたり、ヘキサゴンプルスは「新施設に投資する可能性が高い」としており、組み立て拠点を米国に設けるとみられる。
当初のバッテリーサプライヤーは明らかにしていないが、26年以降はパナソニックエナジーが米カンザス州に新設する工場からの供給も加わる予定。同電池は米国の「インフレ抑制法(IRA)」により電池製造者が受けられる補助金の対象となる見通し。
ヘキサゴンプルスは圧縮水素タンク・システムやバッテリーシステム、車両インテグレーションなどを手がけ、三井物産と戦略提携している。
トラックからの温室効果ガス(GHG)削減は喫緊の課題。カリフォルニア州がゼロエミッション商用車への移行を段階的に義務付けるなど、物流の脱炭素化が加速する。
日刊工業新聞 2023年06月09日