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5社が営業黒字確保…日産系部品メーカー6社・通期予想の全容

日産自動車と取引が多い部品メーカー6社の2024年3月期連結業績予想は、自動車生産台数の回復を見込み、5社が営業増益や営業損益の黒字転換を計画する。ただ、半導体不足による自動車減産のリスクが残るほか、原材料費、エネルギー費、労務費の高騰など、事業環境の厳しさは続く。各社は事業内容や展開地域に応じた生産効率化やコスト増分の価格転嫁などの取り組みで、業績改善の道筋を確かなものとしたい考えだ。

ユニプレスは顧客の自動車メーカーの増産などにより23年3月期連結決算の営業損益が黒字転換したが、地域別では日本や欧州で営業損益の赤字が続いている。24年3月期は生産台数の回復や新車部品の立ち上げなどで前期比2・0倍の営業増益を見込む。

ヨロズは23年3月期に営業損益の赤字が拡大した米州のほか、中国を含むアジアでも生産台数の増加を見込みにくい状況で、24年3月期は売上高がほぼ横ばい、営業利益は微増の見通し。パイオラックスは原材料費や物流費などのコスト増が続く中、合理化の取り組みや国内外の顧客への拡販などで前期と同等の営業利益確保を目指す。

アルファは23年3月期に自動車部品事業の営業損益が日本、北米、アジア、欧州の全セグメントで赤字だったが、セキュリティー機器事業の好調で連結決算は営業増益となった。24年3月期は生産計画の変動への対応を強化するほか、エネルギー費上昇分の価格転嫁交渉などを進め、自動車部品事業の黒字転換を目指す。ファルテックは23年3月期連結決算で赤字転落した営業損益について、24年3月期は国内工場の生産効率改善や英国の工場集約完了の効果が表れ、黒字転換する計画。

河西工業は23年3月期に主力の北米市場で増収となったものの、急激なインフレに伴う労務、材料、物流、電力などのコスト増でセグメント損失が拡大。連結決算の営業損益は147億円の赤字(前期は121億円の赤字)となった。24年3月期連結業績予想は非公表。北米事業の立て直し、欧州の拠点再編や事業撤退の検討、本社の人員最適化などに取り組む。悪化した財務体質を改善し、運転資本を充実するため「あらゆる資本政策などの可能性を検討する」(河西工業)としている。


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日刊工業新聞 2023年05月19日

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