「未利用魚」レストランで活用へ、ピエトロと共鳴したパートナーとは?
おいしさとともに世の中を良い方向に―。ピエトロは「未利用魚」をレストラン事業で活用し、市場に流通しづらい天然魚の価値向上やフードロス低減に取り組む。食べる楽しみと持続可能な社会づくりの両立を目指す。
ピエトロはこれまでに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け、2030年末までに製品容器の全量を環境配慮型とする目標を掲げている。すでにドレッシングなどのボトルの素材や印刷を一部バイオマス由来に転換した。
新たに踏み出すのが未利用魚の消費拡大だ。味に問題はないが、傷やサイズ、漁獲量、知名度などを理由に流通に回らない魚を無駄なく“生かす”。未利用魚の流通拡大に取り組む水産ベンチャー、ベンナーズ(福岡市東区)と手を取り合う。福岡市に本社を置く両社で包括連携協定を結び協働する。
高橋泰行ピエトロ社長は、ベンナーズについて「新しい切り口で水産業、漁業の課題に取り組み、なじみのない新たな魚を提案している」と説明する。自社の経営基本方針の一つ「新しい食文化を提案します」とも共鳴するパートナーだ。
ベンナーズの井口剛志社長は「共通の志を持っている。福岡から全国の水産業を盛り上げ、魚を好きになってもらう機会をつくりたい」と意気込む。
活動第1弾は福岡と東京の一部店舗において、イラとミノカサゴ、オジサンの3種をオーブン焼きで提供する。魚は福岡近海産でベンナーズが供給する。天然の白身魚の醍醐味を味わうため、ハーブの風味を効かせつつ、シンプルな調理法とした。高橋社長が「課題解決のためにおいしさを我慢しない」とした自信のメニューだ。
供給分がなくなり次第終了となるが、今後もレストランでの未利用魚の提供を続ける。「ピエトロに行けば未利用魚を食べられる、と楽しみにしてもらえるようにしたい。まずは定番メニューになることを目指す」と、高橋社長は新領域への船出に力を込める。