荷物受け下ろし・充電を行う「ドローンポート」海外展開へ、ブルーイノベーションの勝算
ブルーイノベーション(東京都文京区、熊田貴之社長)は、飛行ロボット(ドローン)ポートの海外展開に向けた準備・調査活動に乗り出す。ドローン物流や送電線などのインフラ点検が今後本格普及するにつれて、ドローンの荷物受け下ろしや充電を行うドローンポート整備が不可欠になると見る。東南アジアやアフリカ、欧州での需要を想定し、2023年内にも海外市場への進出を目指す。
ブルーイノベーションは国土交通省や東京大学などと共同で、ドローンポートシステム「BEPポート」の開発に16年から取り組んできた。
同システムではドローンで品物を運ぶ際、センサーが座標データを衛星経由でクラウドに送信し、位置情報を関係機関と共有。着陸地点を正確に把握して、飛行計画の策定とともにドローンの安全運航に関わる風速情報や気象情報、付近に人がいないかなどの情報を把握し、管理する。航続力が小さいドローンへの充電や、機体格納も行う。
これらのシステム規格が早ければ7月にも国際標準化機構(ISO)において採用される見通しで、日本国内だけでなく海外にも、事業展開できる環境が整う。そのため、ブルーイノベーションは相手国のドローン規制や機体認証のほか、法律のクリアなども念頭に準備活動を進める。
空撮用などの小型ドローンは中国のDJIが世界市場で大きなシェアを占めているが、ブルーイノベーションは、物流や送電線などのインフラ点検では「航続距離が長く、重い荷物も運べる大型ドローンが市場の主役になる」(熊田社長)と予想する。
ドローンポートや日本製の物流用ドローンなどとセットで海外展開を狙う。島しょや森林の多い東南アジア、アフリカは潜在需要が高い。安全保障セキュリティーや国産化の観点でドローンは政府規制も厳しいため、それも念頭に入れ拡販を図る。