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EV・ドローンの需要見込む、粉体に多様な機能性を付与できるスゴい技術の中身

EV・ドローンの需要見込む、粉体に多様な機能性を付与できるスゴい技術の中身

卵殻粉体(10マイクロメートル担体)に触媒成分をコーティングした走査電子顕微鏡(SEM)画像(静岡プラント提供)

静岡プラント(静岡県吉田町、戸田泰寛社長)は、材料を粉砕しながらセルロースナノファイバー(CNF)などを粉体に薄膜コーティングする技術を開発した。粒径10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微小粉体に、ナノメートル(ナノは10億分の1)レベルで均一な厚みの薄膜をコーティングできる。粉体にさまざまな機能性を付与できる技術として、電気自動車(EV)車体や飛行ロボット(ドローン)機体の骨材向けなど広く需要を見込む。ナノ薄膜コーティングができる粉砕機も販売する。

粉砕と同時にコーティングする技術は、コア技術とする独自開発の気流式微粉砕機「サイクロンミル」の超微細粉砕技術を応用して開発した。サイクロンミルはモーターでインペラを回転させて高速気流を発生し、せん断力により粒子同士が衝突して粉砕する。

静岡県工業技術研究所(静岡市葵区)、富士工業技術支援センター(静岡県富士市)と共同で試験を繰り返し、粒径10マイクロメートルまで粉砕した粉体の粒子表面にCNFと触媒成分の炭酸カルシウムを、安定して均一にナノ薄膜コーティングできる技術を開発した。

CNFをナノ薄膜コーティングした粉体を骨材などに使うと軽量で強度が高まり、活用の幅が広がると期待する。また炭酸カルシウムの場合、ポリプロピレン(PP)などに練り込んで樹脂繊維に均一分散でき、病院で使うカーテンなど抗菌・抗ウイルス商品に利用することで新型コロナウイルス対策での需要が見込める。

ナノ薄膜コーティング対応の粉砕機は、サイクロンミルにコーティング材投入口を設けるなど改良を施す。処理能力に応じて、価格1200万―1億円(消費税抜き)で販売したいとしている。


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