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芳香分子の抗ウイルス効果、花王などがAIで新物質発見

材料開発の効率化に活用

奈良先端科学技術大学院大学のスワリット・ジャシアル特任助教と船津公人特任教授らは花王と共同で、消臭剤などの芳香分子の抗ウイルス効果を人工知能(AI)技術で探索し新物質を発見した。説明可能なAIを用いて抗ウイルス効果の判断根拠となる分子構造を特定した。生活空間の感染リスク低減につながる。この手法はさまざまな材料開発に展開できる。

奈良先端大が花王と開発した手法

188種の芳香分子の抗ウイルス効果の実験データをAIモデルに学習させた。188種の中には抗ウイルス効果が強い分子や、ない分子が含まれる。学習後のAIモデルをSHAPという手法で判断根拠を可視化した。抗ウイルス効果にポジティブやネガティブに働く分子構造を明らかにしてAIの判断が正しいか確かめる。

すると水酸基やカルボニル基などを含む親水性構造が抗ウイルス効果に影響していると判断していた。これはウイルスのたんぱく質を変性させる機能があり判断は合理性がある。

このAIモデルで新物質を探索すると11種の物質が提案された。実際に合成して抗ウイルス効果を評価すると8種に抗ウイルス効果があり、AIの予測と実験の差は1%以下だった。このうち7種は抗ウイルス効果が知られていなかった。

実際の材料開発ではAIの提案する分子の判断根拠を参照しながら合成するか選べる。こうした手法は幅広い材料開発を効率化できる。消臭剤や芳香剤に抗ウイルス効果を付与できると密閉空間での感染リスク低減につながる。

日刊工業新聞 2023年月5月9日

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