特注ファスナーの工程短縮、YKKが3Dモデルで即時出力
YKKはパソコン画面上に特注ファスナーの3次元(3D)モデルと商品コードを即時出力する機能を開発した。ファスナーは部材や色の組み合わせが豊富で選択が難しいが、新機能によりアパレルメーカーなどの顧客が直感的に選べるようになる。従来の紙のカタログに比べて試作品の発注までの工程を短縮できる。
同社の「YKKデジタルショールーム」で新機能「YKKトリムクリエイター(仮)」を公開する。利用は無料。
素材やスライダーのデザイン、色、大きさなどを選択すると、3Dの見本と商品コードが表示される。顧客はこれを基にYKKに注文や問い合わせができる。公開時は素材や開き方の異なる5種類の基本商品をもとに、約300種類のスライダー、約600色のテープから選択が可能。順次、基本商品や仕様を追加する。
ファスナーは部材や色の組み合わせが膨大で、商品コード体系も複雑。発注者は紙のカタログなどを照合して、実際に製品化できるか不確実な状態でYKKや縫製工場に問い合わせていた。認識をすり合わせるため、発注者とYKKの営業担当者間で試作品の確認を重ねるなど、時間を要していた。紙のカタログでは掲載していない製品画像も多かった。
YKKトリムクリエイターでは製品化できる商品が3Dで表示され、商品コード体系を学ばなくても欲しいタイプのファスナーと商品コードを一致させられる。これにより確認工程を減らし、短期で発注できる。
アパレル業界ではサステナビリティー(持続可能性)の観点から過剰在庫を避ける流れがある。服飾部品メーカーは注文された商品を適時適量提供することが求められ、デジタル変革(DX)のニーズも広がる。YKKは2023年度にデジタル関連で15億円の投資を計画している。
同社は72の国と地域で事業を展開し、縫製業が盛んなアジアや主要な消費地に近い土地で製品を製造できる強みがある。デジタル化を推進することで生産体制だけでなく、発注の段階から納品までの速度を上げる。