JR貨物が脱線対策強化へ、設置を拡大する装置の仕組み
2021年12月のJR山陽線における貨物列車の脱線事故を受け、JR貨物が安全対策を強化している。脱線原因の一つとしてコンテナ内の貨物が偏り、バランスの悪くなる「偏積(へんせき)」が起きたためと考えられており、輪重(一つの車輪にかかる重さ)を測定する装置などを23年度中に新たに45駅で設置する。ハード面での改善のほか、利用運送事業者との勉強会も開催するなどソフト面でも対策を拡充し、再発防止に役立てる。
JR貨物は22年度までに列車の輪重を量る「輪重測定装置」を4駅、トラックの重さを量る「トラックスケール」を3駅、コンテナの重さを量る「コンテナスケール」を1駅、計8駅で導入している。
事故を受けて23年度中に新たに輪重測定装置を16駅、トラックスケールを27駅、コンテナスケールを2駅にそれぞれ設置する予定だ。以前からのものと合わせ、主要駅を含む53駅で対策装置を導入する。また、ポータブル重量計によるサンプル調査も実施する。
さらに貨物の運送を行う利用運送事業者や積み込み会社向けに、定期的に偏積防止に関する教育と情報共有などの勉強会を開くなどして啓発し、事故の再発防止に役立てる。
脱線事故は山陽線瀬野駅―八本松駅間において、広島貨物ターミナル駅から東京貨物ターミナル駅行きの貨物列車(25両編成)で発生。国の運輸安全委員会は3月末に、左右偏積率10%の目標を大幅に超過したコンテナが複数積載されたことが原因で車両のバランスが崩れ、脱線したと見られるとした調査報告書を公表している。
日刊工業新聞 2023年月4月18日