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丸紅が生産能力増強に協力、「もみ殻炭」が発揮する効果

丸紅が生産能力増強に協力、「もみ殻炭」が発揮する効果

もみ殻炭を使ってCO2由来の炭素を地中に固定化できる

丸紅は17日、精米の生産工程で発生するもみ殻の炭化製品「もみ殻炭」の国内生産大手プロス(長野県伊那市)と、もみ殻炭に関する業務提携の基本合意書を締結したと発表した。丸紅がもみ殻炭の販売拡大や生産能力の増強に協力するほか、海外での生産も検討する。園芸培土の構成材などにもみ殻炭を使う際に、コメが成長過程で吸収した二酸化炭素(CO2)由来の炭素を地中に固定化できるため、温室効果ガスの排出削減を推進する。

丸紅がプロスのもみ殻炭の製造・販売を支援する。もみ殻炭の製造販売で15年以上の実績があるプロスの秋田工場の設備更新に協力するとともに、丸紅の事業ネットワークを使って販売拡大を後押しする。市場ニーズに応じてコメの産地である東南アジアなど海外での生産も検討する。

もみ殻炭は内部に多数の微細孔があるため、保温や保水、土壌改良などの機能を発揮する。育苗や園芸培土の構成材に使われ、もみ殻炭内部の炭素を地中に埋設できる。コメの成長過程や炭の製造時に排出するCO2よりも吸収・固定したCO2が上回れば、炭素排出枠(カーボンクレジット)の創出にもつながる。近年は未活用のバイオマスを原料とするバイオ炭としても、もみ殻炭は注目されている。

全世界で年間約1億4000万トンの排出があるとされるもみ殻は、有効活用されず廃棄・焼却処理されているケースが少なくない。土壌改良や廃棄物処理の課題解決に貢献しながら、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進する。

日刊工業新聞 2023年月4月18日

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