ニュースイッチ

13年ぶり交代、東レ新社長は「根っからの営業マン」

13年ぶり交代、東レ新社長は「根っからの営業マン」

握手する大矢次期社長㊨と日覚社長

東レは27日、大矢光雄副社長(66)が社長に昇格する人事を発表した。日覚昭広社長(74)は空席だった代表権のある会長に就く。社長交代は13年ぶり。6月開催予定の株主総会後の取締役会で正式決定する。コロナ禍や原燃料高騰などによる収益性悪化を課題として、2025年度を最終年度とする次期中期経営課題(中計)でさらなる成長を目指す。

日覚氏は10年に就任し、リーマン・ショック後の収益回復に取り組んだ。ファーストリテイリングとの連携による機能性衣料品開発や米ボーイング向け炭素繊維などで経営をけん引。「現中計はコロナ禍などの影響で厳しい状況だが、23年度からの中計を二人三脚で進める」と新たな体制を強調した。

大矢氏は繊維部門の経験が長く、現在は営業全般とマーケティング部門を担当。今後の経営のかじ取りについて「次期中計がスタートする。新しい価値を提供して収益拡大を目指す」と抱負を述べた。

27日発表した次期中計では25年度に売上収益で2兆8000億円(22年度見込み比11・6%増)を目指す。この実現に向け、成長領域となる水素社会に貢献する製品や炭素繊維関連など事業強化に新たな経営体制で取り組む。

【略歴】大矢光雄氏 80年(昭55)慶大法卒、同年東レ入社。02年長繊維事業部長、12年取締役繊維事業本部副本部長。14年東レインターナショナル社長。16年東レ専務繊維事業本部長大阪事業場長、20年代表取締役副社長執行役員。千葉県出身。

素顔/東レ社長に就任する大矢光雄(おおや・みつお)氏 根っからの営業マン
 「根っからの営業マン」と自負する。入社から約40年にわたり繊維部門の営業に携わった。社長就任の打診を受けた時、事業領域の広い東レにあって「繊維しか知らないだけに、一度は保留した」と明かす。
 これに日覚氏は「長年厳しい環境の繊維事業で高付加価値シフトなどの功績は大きい。人望も厚く、求心力がある」と太鼓判を押す。大矢氏は「東レの次期中計の始まる重要な年に、自らの経験が生かせるのではないか」と決断した。他部門のカバーについては「日覚社長の力を借りて、二人三脚を大事にする」とも。
 原燃料の高騰など依然として不透明な情勢が続くが、「いつの時代でも環境は変化する。それをいち早く経営課題に落とし込んで、実行する」と意気込む。
 趣味は健康のためのゴルフと散歩。座右の銘は吉田松陰の名言である「夢なき者に成功なし」。(編集委員・井上雅太郎)

【関連記事】 旭化成の「自動車用シート材」巨額買収、決断の裏に東レの存在
日刊工業新聞 2023年03月28日

編集部のおすすめ