シチズンマシナリーの「自動旋盤向け切りくず分断技術」が加速度的に普及している理由
切削加工の生産性向上・環境負荷低減
シチズンマシナリー(長野県御代田町)が手がける自動旋盤向け切りくず分断技術「低周波振動切削(LFV)」が、加速度的に普及している。2013年にLFV搭載機を発売し、23年1月までに累計出荷台数が5000台を記録。想定よりも2カ月前倒しでの突破となった。切削加工の生産性向上と環境負荷低減効果が評価され、国内外で販売が伸長している。
LFVは、サーボ軸を主軸回転と同期させながら切削方向に振動させ、切削中に刃物が当たらない時間を作ることで切りくずを細かく分断する同社独自の技術。切りくずによる不良品の発生や工具破損を低減し、切りくず除去のための機械停止の頻度も減らせる。これにより、加工コストの削減や長時間の連続自動運転を実現する。
環境面でも、加工対象物(ワーク)1個当たりのサイクルタイム短縮による使用電力量の削減に加え、切りくずの容量を小さくできて回収頻度も減少するため、回収業者の輸送時の二酸化炭素(CO2)排出量削減という効果も得られる
LFVは発売開始以降の10年間で搭載機が13機種まで増え、販売実績も日本をはじめ、欧米や中国、アジアと世界中で積み上げており、同社を代表する技術として地位を確立した。露崎梅夫取締役執行役員は「LFVが(生産効率の向上や環境負荷低減で)非常に効果が高いことを部品加工業界にアピールできた」と自負する。
またLFV搭載によって、機械単価を増やせたほか、樹脂加工向け需要の取り込みにも成功。LFVを知って入社してきた社員もいるなど、人材獲得の点でも福次効果を得られているという。
同社は今後もLFVの技術に磨きをかけていく方針で、微少切削液供給加工(MQL)と組み合わせた活用に取り組む。また測定や洗浄など加工以外に関わる自社技術との組み合わせも提案する。露崎取締役執行役員は「顧客のワークフローの付加価値を上げていく」と力を込める。