約4000倍高速化、蛍光材料を3秒で測定する新装置がスゴい
産総研が開発
産業技術総合研究所の細貝拓也研究グループ付と東京理科大学の古郡美紀大学院生、中山泰生准教授らは22日、蛍光材料の測定を約4000倍高速化する測定装置を開発したと発表した。3時間かかっていた計測が3秒で済む。光の強度と計測時間を7ケタの範囲でカバーできる。有機ELの色素や光触媒、蓄光材料などの開発に展開する。
熱活性型遅延蛍光(TADF)と呼ばれる蛍光分子の評価を高速化した。TADF材料は瞬間的に強く光る瞬時蛍光と、長く弱く光る遅延蛍光の2種類の光り方をする。強度で100―1万倍、発光時間で1000倍以上の開きがある。
そこで感度と測定時間の異なる3種類の検出器を組み合わせた。光路を切り替えて三つの検出器で測定し、データを統合する。
測定時間は0・1ナノ秒(ナノは10億分の1)から1ミリ秒以上、光強度も7ケタにわたる計測範囲を確保した。広範な条件で測定できるため、3時間の計測実験が3秒で済んだ。
27種類のTADF材料のデータを集め、深層学習で分類すると99%の精度でデータから材料を識別できた。分子構造から発光特性を予測するなどデータ駆動型の開発を進める。
日刊工業新聞 2023年3月23日