女性幹部を育成するする3メガバンク、それぞれの強化策
3メガバンクが女性幹部育成に向けた取り組みを強化する。三菱UFJ銀行は役員がメンターを務めるキャリア支援プログラムに参加する女性幹部候補社員を従来比倍増の150人に増やした。みずほフィナンシャルグループ(FG)も部長級の女性社員を対象とした役員メンタリング制度を始めた。女性の中間管理職比率が高まり、女性役員の育成が喫緊の課題となっている。女性社員が役員を目指す意識の醸成や環境づくりを進める。(編集委員・水嶋真人)
三菱UFJ銀行の「役員メンタリングプログラム」は、理事候補となった部長級の女性社員に対し、役員がメンターとなってキャリアに関するアドバイス、精神面でのサポートを行う。2022年度から同プログラムの対象年次を引き下げ、参加者を従来の75人から倍増した。
同行は米マイクロソフトの対話ツール「チームズ」用いた女性向けの社員コミュニティーも開設した。三菱UFJ信託銀、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を含む3社で23年度までに次課長級以上の国内社員に占める女性の割合を従来比2ポイント増の20%に上方修正した目標の達成につなげる。
みずほFGも傘下のみずほ銀、みずほ信託銀、みずほ証券を含む計4社の合算で、24年7月までに課長相当以上の国内女性管理職比率を20%に高める目標を掲げる。22年9月に部長相当の女性社員を対象に役員メンタリング制度を開始し、21人が参加した。みずほ証券の女性部長のメンターにみずほ銀行の役員が就くなど会社の枠を超えたマッチングを行う。月1回1時間面談し、役員としての心構えなどを学ぶ。
女性新任部店長研修も22年度から新設し、11人が参加した。「自信と覚悟」をテーマに部店長としての心構えやスキルを学ぶほか、参加者同士のネットワーク構築につなげる。
三井住友銀行は21年度に課長級以上の女性管理職が819人に達し、管理職全体に女性が占める割合が20・7%となった。
今後は役員を目指す部長級の女性に担当領域外の役員を付ける「スポンサー役員制度」の導入を検討する。女性部長とは異なる分野を担当している役員に同行し、仕事ぶりを実際に見てもらうことで役員としての心構えを学ぶ。役員自身も女性役員増加に向けた意識改革につなげてもらう。男女問わず仕事と家庭を両立できるようにするため、男性の育休取得を上司の評価体系に加える仕組みも検討する。
3メガバンクは50歳以上の大量採用世代で男性の比率が高い一方、近年では新卒者に占める女性の割合が3割超となり、係長や課長に占める女性の割合も増えてきた。ダイバーシティー(多様性)推進のためにも女性幹部の育成は必須だが、現状では部長級以上の女性の配属部署は事務管理や広報、サステナビリティー(持続可能性)などに偏っている。女性比率を高めるだけでなく、経営企画や人事担当部長に女性を増やすことも課題となる。
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