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富士通が考える「人とAI」が共存する未来

第3次ブームまでを分かりやすく解説。そしてこれから

知見や技術を体系化した「Zinrai」


 富士通は、2015年11月にこれまでの人工知能の技術を業界で初めて体系化した「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、Zinrai)を発表した。

 Zinraiのコアとなる技術は、人のように五感を駆使して私たちの気持ちを理解する「感性メディア技術」、機械処理できる知識を創り出す「知識技術」、スーパーコンピュータをも活用して課題解決に結びつける「数理技術」。そしてこれら3つの技術を支える「学習技術」。

 日々学習しながら知能を獲得し、成長を続ける「学習技術」により、Zinraiはさらに高度化していく。さらに、富士通のデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(メタアーク)」上で、「Zinrai」の技術をサービスとして提供していくことで、価値を高めることができる。

 人工知能は、コミュニケーションを通して人に癒しをもたらしたり、医療の進化に役立てたり、ビジネスの新しい可能性を切り拓くなど、今後、私たちの生活の様々なシーンで役立てられるだろう。

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ディープラーニング活用しコスメで共同プロジェクト


日刊工業新聞2016年2月12日


 富士通は、ビッグデータ(大量データ)の分析サービス「データキュレーション」に、新たな分析手法としてディープラーニング(深層学習)を適用する。機器のログ(履歴)や顧客・商品情報などの分析・予測モデルに加え、新たに画像や音声などのデータにディープラーニングを適用した学習・認識モデルを提供する。ヒトの五感に対応した、精度の高いサービスの開発や業務改革を後押しする。

 その一環としてクーシー(東京都渋谷区)と連携し、同社が運営する国内最大級の化粧品(コスメ)・美容情報サイト「ハピカナ」の新サービス開発に向けた共同プロジェクトを始めた。

 共同プロとして、5万点の顔画像データに対し、ディープラーニングを用いた学習を80万回行った。この結果、輪郭、目、鼻、唇など顔を構成する各パーツの形や肌の色など、顔に関する特徴から8種類の顔型を作成した。

 この結果を基に、ハピカナを訪れた人の顔の特徴に合った化粧の助言やアイテムの紹介など、新たなレコメンド(推奨)サービスの開発につなげる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近、人間と人工知能の共存論が盛んに行われている。今回の話は富士通ジャーナルにおける富士通のビジネス的な視点で書かれている。 人工知能が生活に入ってくると、既存の法制度で今まで定性的に人間が納得していたものに、定量的にパラメーター設定されていくことになるはず。パラメーターは誰が決めるのか?法律の条文に「見える化」されたパラメーターがどんどん入るのか?その時に、人間の根本的な倫理に立ち返える作業が必要になるだろう。

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