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来年度の賃上げ「ある」企業56%、2年連続増加で過去最高水準

帝国データバンク(TDB)がまとめた2023年度の賃金動向に関する企業意識調査によると、23年度に正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある」と見込む企業は56・5%だった。2年連続の増加で、18年度見込み(18年1月調査)と並び過去最高水準となった。一方、「ない」と回答した企業は17・3%と、調査開始以降で最も低い水準だった。

賃金に関する調査は06年1月以降、毎年1月に実施しており、今回で18回目。

賃金改善の状況を企業の規模別でみると、大企業、中小企業、小規模企業のいずれも前回調査(22年度見込み)から賃金改善見込みの割合が上昇した。ただ、「従業員が5人以下でより賃金改善を行う環境が厳しくなっている様子がうかがえる」(TDB)。

賃金改善の具体的な内容では「ベースアップ」が49・1%、「賞与(一時金)」が27・1%。「ベースアップ」は2年連続で過去最高を更新した。

23年度に賃金改善が「ある」と回答した企業に、その理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が71・9%で最多。「従業員の生活を支えるため」も70・1%と7割を超えた。「物価動向」は前回より急増し、57・5%だった。一方、「ない」理由としては「自社の業績低迷」が62・2%でトップだった。

23年度の自社の総人件費が「増加」すると見込んでいる企業は69・6%となり、22年度見込みから2・5ポイント増加。TDBは「総人件費の増加率は前年度から平均3・99%増加すると見込まれる」としている。

調査は1月18―31日に実施。有効回答企業数は1万1719社。

日刊工業新聞 2023年02月22日

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