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小さな会社ほど「身だしなみ」を見られている

小さなものづくり企業の営業改革大作戦 #5
小さな会社ほど「身だしなみ」を見られている

アイキャッチイラスト:石山さやか(@shiya07)

ものづくりライターとして町工場を中心に取材活動をしている筆者は、先日延べ5,000社を訪問した経験のある調査会社の社員と話す機会があった。その際「町工場あるある」で大いに盛り上がり、一つ、結論めいたものに至ったことがある。それは、5S活動はウソをつかないということだ。
 5Sは狭義には製造現場を美しく保つことによるメリットを目的とするが、広義は5Sの活動を通して社員の自主性の向上、チームワークやリーダーシップの醸成を目指し、組織力をアップすることを目標としている。単に整理整頓や清掃を行うのではなく、組織的に取り組むことで、5Sの活動を通じて会社の生産活動全体のレベルの底上げを目指しているのだ。

だらしのない会社に仕事は頼めない

もちろん営業面から見たときにも5Sは効果的だ。
 たとえば自社が新しい外注先を探して取引先に発注するとき、一度先方を訪問して製造現場を見せてもらったりしていないだろうか。逆に、新しい顧客と取引を始めるとき、工場を見に来ることもあるのではないか。そのような機会に工場内がごちゃごちゃだったりすると「この現場でちゃんと高精度な製品ができるのだろうか?」「加工条件はきちんと管理されているのだろうか?」などと心配になってしまう。逆に5Sの行き届いた現場を見せてもらうと、安心して発注できることだろう。やはり「きれいな工場からはきれいな製品が生まれる」のである。
 「会社の身だしなみ」ともいえる5Sが訪問者の印象に影響していること、とくに小さな会社ほどその「身だしなみ」でその会社が信用するに足るか否かを測られているということを意識しよう。

あいさつ、身だしなみは営業の5S

また、工場で働く従業員のあいさつも、取引先に対して大きな印象を与えている。スタッフが誰も顔を上げずに無視を貫く現場と、忙しくとも一瞬顔を上げて「こんにちは!」とあいさつしてくれる現場では、訪問者の立場からすると「いい会社なんだろうな」とポジティブな印象になるのは間違いなく後者だ。
 全社で5Sに取り組んでいるという社員15名ほどのある町工場では、「大きな仕事は工場見学から決まることが多い」と教えてくれたこともある。何を今さら……と思うかもしれないが、「5S」と「あいさつ」、改めて大切にしたい。

もう一つ気をつけたいのが服装だ。製造業に限らず、ビジネスの現場では第一印象は重要で、特に身だしなみ(服装、髪型、爪、靴)が第一印象に影響すると言われている。そこで、次のイラストのA~Cで、製造業の営業に適した服装はどれだろうか?

(※イラスト本誌2-11より)

筆者のおすすめは、Bのシャツ+ネクタイ+作業服。理由は、きちんとした感じを出しながら、作業服で会社のブランドと専門性を伝えられるから。いつも工場の中にいると作業服が当たり前で、服装には無頓着な人も多い。しかし普段現場仕事をしているからといって、油まみれのヨレヨレの作業服で取引先に対応すると、仕事もきちんとしていない感じに見られてしまう可能性もあるのでおすすめできない。逆にスーツだと、いかにも営業しに来た感じが出て顧客によっては敬遠される可能性もある。そこで、初めての訪問で相手の様子がわからない場合は、Bのシャツにネクタイ、作業服を羽織っていくのがおすすめ、ということになる。
 場面に応じて身だしなみを整えることは相手への気遣いを示すだけでなく、自分と自社の能力を伝えて信頼感の醸成にもつながるので、ぜひ服装の見直しを考えてみてほしい。

作業服のリニューアルのススメ

町工場の中には、何十年も制服=作業服を変えていないという会社が結構多い。スタンダードなデザインといえば聞こえは良いが、既製品に社名を刺繍しただけで、垢抜けない(失礼)作業服を会社の皆が着ている状況が続いている。だが令和になった今の時代、かっこよさと機能性を併せ持った作業服もたくさん発売されているので、この機会に作業服のリニューアルを検討してみてはどうだろうか?
 本誌のケーススタディでは完全オリジナルの制服の導入事例を紹介しているが、既製品+ロゴなどによるアレンジでも十分なインパクトを出せるはず。作業服の変更は取引先に「おっ、変わったね!」とポジティブな印象を与え、ぜひ長期的な信頼感の獲得につなげてほしい。

【POINT】
身だしなみは相手への気遣い。
5S・あいさつ・服装を整えて、信頼感を醸成しよう。

貴社の営業力の現在地がわかる簡単なチャートを用意してみた。ぜひ試してみてほしい。
【中小製造業向け】営業の現在地確認チャート

<著者紹介>
ものづくりライター 新開 潤子
『小さなものづくり企業の営業改革大作戦(日刊工業新聞社)』の著者であるものづくりライター。中小製造業を中心に取材活動を行いながら、「ものづくり企業の商売繁盛を全力で応援するサポーター」として経営計画、営業の仕組み導入などのコンサルティングを行っている。
(オフィス・キートス 代表 https://office-kiitos.biz/

小さな製造業の営業は「売り込む」ではなく「売れる仕組みを作る」が正解だった――激変する経営環境の中で「営業なんてしたことない」「営業マンがいない」というものづくり企業のための、ひとりからできる「営業」の打ち手集。

書名:小さなものづくり企業の営業改革大作戦
著者名:新開潤子
判型:B5判
総頁数:104頁
税込み価格: 2,035円
<販売サイト>
Nikkan Book Store
Amazon
楽天ブックス

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小さなものづくり企業の営業改革大作戦
製造業の営業の現場で実践して新規顧客、売上を獲得してきた具体的な方法の中から町工場がすぐに取り組める内容を取り上げ、ひとりから始められる「売れる仕組み作り」の記事を連載でお届けする。

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