新東名きょう愛知延伸。何が変わる?
物流業界も渋滞緩和に期待
新東名の延伸は、物流にも大きな影響を与えそうだ。ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸は新東名の延伸部分について、「近隣のセンターなどが、集荷や配達で活用することになる」(広報)と説明する。
ヤマトは経営戦略「バリューネットワーキング構想」において、東京・中部・大阪にゲートウエーと呼ばれる大型物流施設を置き、これまで深夜に特化していた幹線輸送を日中時間帯にも行って、東京―大阪間の荷物を当日中に配達することを目指している。すでに東京は厚木ゲートウエーが稼働しており、16年秋にも中部ゲートウエーが完成する計画。関西は17年の完成を見込んでいる。中部ゲートウエーが完成すると、東京―中部間の幹線輸送の頻度が上がるため、新東名の延伸は大きな意味を持つ。
ヤマトをはじめとした物流会社が新東名の延伸で期待するのは、渋滞の緩和だ。ヤマトのバリューネットワーキング構想は、日中の幹線輸送を増やすことで、東名阪の当日配達を実現する。深夜に比べ、交通量が多い日中に幹線輸送を増やすと、渋滞のリスクは大きくなる。新東名の延伸で渋滞緩和が進めば、構想実現の一助となる。また二重化により事故などで一方が通行止めになった場合にも、影響を最小限にとどめることができる。
ただ、物流関係者の間では、「開通して、実際に走ってみないことには、何とも言えない」との本音も聞かれる。車両が東名と新東名でうまく分散すれば、一定の効果があるが、実際に走行ルートがどのようになるか、まだ読めないところがあるようだ。
(文=杉本要、高屋優理)
日刊工業新聞2016年2月12日「深層断面」