ホンダ・マツダ…乗用車6社が世界販売台数見通しを下方修正、対応迫られる課題の数々
乗用車メーカー7社の2023年3月期連結業績予想は、半導体不足が足枷(かせ)となり、6社が世界販売台数の見通しを下方修正した。製品価格の改定などで収益の落ち込みを抑える状況が続いている。半導体不足の解消はいまだ展望が見通せず、北米の景気後退や円高進行に対する懸念もくすぶる。山積する課題への対応に各社は迫られている。
ホンダは23年3月期の世界販売台数の見通しを22年11月公表比25万台減の385万台に下方修正した。2輪車の拡販や販売価格の引き上げなどで営業利益予想を据え置いたが、売上高は同1500億円減を見込む。藤村英司経理財務統括部長は半導体調達について「半導体メーカーとも直接やりとりしている。厳しい状況が続いているが、23年後半から調達の目途が立ち始める」とみる。
マツダは世界販売台数の見通しを下方修正したが、円安効果を受けて業績予想を上方修正。営業利益を22年11月公表比100億円増の1500億円まで積み増した。ただ「半導体の調達状況は相変わらず厳しい」(毛籠〈もろ〉勝弘取締役専務執行役員)状況が続く。22年11月公表比30万台減の340万台に下方修正した日産自動車は、「中国は新型コロナウイルス感染拡大に起因し、北米は半導体不足が減少要因」(アシュワニ・グプタ最高執行責任者〈COO〉)とする。
長期化する半導体不足に対し、SUBARU(スバル)は「汎用的な半導体も使用し、供給不足のリスクを低減する」(同)考え。トヨタ自動車は「在庫の積み増しや設計の見直し」(長田准執行役員)で対応している。
為替影響にも警戒感が高まっている。スズキの河村了財務本部長は「米国の利上げペースが減速しており、為替がどうなるか注視している」と話す。1月以降は円高方向に振れているため「通期の為替差益の予想を(11月公表から)50億円減らし、800億円にした」(河村本部長)。マツダの青山裕大取締役専務執行役員は主力の北米市場で「インフレや金利の影響はある」としつつも「需要は底堅い」とみる。
円高進行や北米の景気減速が各社の減益要因となるだけに、当面不安の種としてくすぶることになりそうだ。
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