トヨタが開発した「データ駆動型研究ツール」の全容
トヨタ自動車は、材料などのデータ駆動型研究開発の解釈支援ツールを開発した。データ科学や人工知能(AI)技術を用いる際に、AIの抽出した特徴量を研究者が理解しやすくなる。エンジン燃焼室での燃料噴射の動画を扱うことに成功。波形と画像、動画と研究で用いる大部分のデータに対応できる。民間企業や国の研究開発事業などへの活用を提案していく。
電子顕微鏡の画像や分析機器の波形などのデータからAI技術で材料の性能に効いている特徴量を抽出する。この特徴量が何を指すか、そのままでは人間には理解できない。そこで特徴量を操作して波形の変形として確認する機能を開発した。
例えば特徴量を強調すると特定のピークが伸び、弱めるとなだらかになる。この場合は強調されたピークが性能に効くと判断できる。画像では粒子の縁が強調されるなど、特徴量の効果を視覚的に確認できる。この機能をデータ解析支援サービス「WAVEBASE」に実装した。
性能に効くプロセス条件と性能に効く画像特徴量を掛け合わせると、目的の微細構造を作るプロセス条件を求められる。
実験結果から次の実験条件を提案する機能も開発。実験データから次の実験条件の設定を自動化できるため自動探索できるようになった。
国プロでは文部科学省の「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト事業」で利用される。官民でデータ駆動型研究のツールと知見が共有され、開発が加速すると期待される。
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日刊工業新聞 2023年02月10日