新型車を来年投入する“先駆者”ホンダのFCV戦略、執行役専務に聞いた!
ホンダは2024年に日米で新型燃料電池車(FCV)を投入する。米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発する次世代燃料電池(FC)システムを積む。ホンダは40年に世界の新車販売を全て電気自動車(EV)かFCVにする計画を掲げている。FCVにも磨きをかけ、電動化戦略を加速する。
ホンダが発売する新型FCVは同社のスポーツ多目的車(SUV)「CR―V」をベースにする。家庭や街中で充電できるプラグイン機能を付ける。米オハイオ州の工場で生産する。
同社は02年に日米で初めてFCV「FCX」を発売。08年に「FCXクラリティ」、16年に「クラリティ フューエルセル」を投入したが、21年に全て生産を終えている。ただ今後は「先駆者として継続的に展開していく」(事業開発本部事業開発統括部の一瀬新部長)考え。
FCVをめぐっては、車両価格が高いことや水素の充填ステーションの整備が不十分なことなどから販売が低調。香港の調査会社、カウンターポイントによると30年に世界で販売される乗用車のうち、EVの割合が約39%まで高まるのに対し、FCVは1%程度にとどまる見通し。
ただ、EVも電池に使う天然資源の調達やリサイクル方法など不透明な要素もあるため、「基本的にはEVとFCV両方に網をかけていく」(青山真二執行役専務)方針だ。
商用車での普及カギ/ホンダ執行役専務・青山真二氏
ホンダの青山執行役専務にFCVの戦略を聞いた。(石川雅基)
―40年におけるホンダのFCVの販売台数の見通しは。
「目標設定はしていないが、確実に全体の5%以下になる。FCVの拡大性はそれほどない。(航続距離が長いため)まず商用車の領域でFCのニーズが高まるだろう。欧州や米国では長距離輸送で使うために水素ステーションが整備され、それを乗用車が使用するという普及の流れが想定できる」
―FCVのビジネス展開や他社との差別化をどう進めますか。
「まだ事業として成立できる状況ではない。しかし、FCVを販売することで(外販するFCシステムを含め)技術や信頼の獲得にもつながるので、将来を見据えてやり続ける。差別化は耐久性が高い点だ。まだ、FCVのニーズは高まっていないので、今回は販売地域を日米に限った。従来車種よりも価格を下げたい」
―水素事業の協業の状況や方針は。
「技術競争はあるが、やはりインフラを含めた全体のエコシステム(生態系)形成は協調しなければならない。さまざまな企業と検討を進めている」
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