バイオエタノールから多様な基礎原料、旭化成が技術確立へ
旭化成はバイオエタノールから多様な基礎化学原料を製造する技術を確立する。2027年までの完成を目指す。一つのプロセスでエチレンやプロピレン、ベンゼン、トルエンなどを作る。完成すれば、ナフサの熱分解により基礎原料を作る既存技術の代替手段として期待できそうだ。
サステナビリティ説明会で工藤幸四郎社長が方針を示した。同技術ではブタジエン以外のナフサ分解留分を得られる。反応時の温度はナフサの熱分解に比べ300度C程度低く、エネルギー消費が少なくてすむ。また、バイオエタノールは南米などで豊富に製造され、入手しやすい。特に電気自動車へのシフトが進めば、自動車用燃料への利用が減り、余剰感が出ると想定される。
すでに研究室での検証を終えており「27年には実用化に必要な実証を完了し、他社への技術ライセンス提供も検討したい」(工藤社長)とする。国内石化産業は内需減少や資源循環へ対応するため、生産体制の見直しが必須とみられる。同社は同技術を新たな基礎原料の生産手段として業界へ訴求する。
同説明会では、ほかに環境対応や人材戦略の幅広い取り組みも示した。高度専門職人数は24年度目標の300人に対し現在294人まで拡大し、順調に推移している。
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日刊工業新聞2023年1月23日