ソニー・ホンダモビリティが公開したEV試作車、アナリストが語った評価と勝負所
ソニーグループとホンダが共同出資する電気自動車(EV)新会社「ソニー・ホンダモビリティ」(SHM、東京都港区)は5日(現地時間4日)、EVの新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を発表し、セダンタイプの試作車を公開した。半導体は米クアルコム製を採用し、車内でのエンターテインメントは米ゲーム大手のエピックゲームズと協業する。2026年春に北米市場、同年7―12月に日本市場での納車を目指す。(石川雅基)
「常識にとらわれない車づくりを行う」。米ラスベガスで6日(現地時間5日)に開幕する家電・IT見本市「CES」に合わせたプレスカンファレンスに登壇したSHMの水野泰秀会長兼最高経営責任者(CEO)は、こう意気込みを語った。開発競争が激化するEV市場で、差別化を図る考えだ。
同日発表した新ブランド「アフィーラ」は「人がモビリティーを知性を持った存在として感じ、またモビリティーがセンサーや人工知能(AI)を用いて人を感じるという関係を表した」(水野会長)という。フロントライトの間にディスプレー「メディアバー」を設けて「車と人がインタラクティブ(双方向的)なコミュニケーションを取れるようにする」。車内外にセンサーやカメラを45個搭載して安全性能を高める。センサーはソニー、安全制御はホンダの技術を主に生かす。
また先進運転支援システム(ADAS)やテレマティクス(自動車向け通信サービス)に、クアルコムが手がける「スナップドラゴン」のSoC(システムオンチップ)を採用する。
ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは新型EVについて「価格は1000万円程度になるとみており、その価格帯として妥当な顧客体験(UX)、技術を提供できている」と評価。ただ「米テスラが提供するような全く新しい自動運転のオートノミー(自律)技術が搭載されるわけではない」と指摘する。その上で「ソニーらしさを出すことができる人や空間のオーギュメンテーション(拡張)が勝負になる」とみる。
SHMはアフィーラについて25年1―6月に先行受注を始め、26年から日米で納車を始める。EVの生産はホンダの北米の工場に委託し、販売はディーラー店舗ではなく、オンラインを中心とする。
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